――第5ブロック一回戦第2試合 レッドテイル×アイラナステア組vs藤田浩之×神岸あかり組 「喰らえ必殺ガンブレイドショット!」 ズキュンッ! 『おーーーーーっと! レッドテイル選手必殺のショットーーーーーーーーーーーーー!』 ガンブレイドを振り回すかのようなレッドテイルのショットが何故かテニスと相性がよいらしく、 すぱぁぁん! 「くっ!」 「イン! ゲーム! レッドテイル、アイラナステア組、3−1!」 「しゃあ!」 吠えるレッド。 「ちっ!」 今の状況だととても勝てない。 満を持して空高くロブを放つ浩之! 「よし! ………なにぃ!?」 ふよふよふよふよ〜〜〜〜 すぱんっ! 『こ、こんなんありでしょうか? アイラナ選手、空中からのロブ返し炸裂ーーーーーーーーーーーーーっ!』 「あうっ!」 ボールが取れず転倒してしまうあかり。 ふよふよふよふよ〜〜〜〜 「大丈夫ですか? 神岸先輩…」 空から舞い下りてあかりの心配をするアイラナ。 「う、うん、大丈夫だよ…」 アイラナに心配させまいとにっこり笑いながら答えるあかり。 「くっそ…あいつらなあ、反則スレスレの攻撃を容赦なく仕掛けてきやがる。」 「浩之ちゃん…」 既にゲームポイントも1−4とリードされた浩之達。 悔しさをかみ殺し、それでもレッド達の方を見やる。 「アイラナ、大丈夫かい…?」 「私は大丈夫です。それよりレッドさんは…」 「大丈夫さ、君が側にいるから…」 「レッドさん…」 「アイラナ…」 「…おい、気が済んだか、お二人さん。」 二人が気がついたとき、既に血管をむきだしにしてご機嫌急勾配の浩之がいた。 断っておくが、浩之がやたら気が短いとかもてないとか嫉妬心が強いとか、そういうことは決してない。 いっぺんLの世界でこの二人のらぶらぶを見てみるがよい。 そう。これ自体既に”挑発”に他ならないっ! 「ゲーム! アンド、マッチ・ウォン・バイ、レッドテイル、アイラナステア組! ゲームポイント、6−2!」 この挑発攻撃を食らって、もはや冷静にプレイすることが出来なくなってしまった浩之。 加えて、地を這うレッドの銃弾、天から舞い下りるアイラナのロブ返しショット。 さしもの浩之、あかりペアも、なんとか2ゲーム取るのがやっとというありさまだった。 「浩之ちゃん、仕方ないよ…」 「あかり」 「は、はい…」 ふう。 軽くため息をついて、そしてあかりの頭を引き寄せた。 「藤田くんっ!」 「ん? 理緒ちゃん…?」 せっかくいいところだったのに。 そう思ったかどうかは知らないが、とにかく意外な来客に軽く驚いたのは事実。 「藤田くん、神岸さん…」 拳をぎゅっと握り締め、まだ愛嬌の残る面差しが、真剣なものになる。 「絶対にカタキはとるからね! 見ててねっ!」 普段から忙しそうな理緒だが、バーニングしているところを見るのは、これが初めてではないだろうか。 「ああ、頼むぜ理緒ちゃん!」 「雛山さん、頑張ってね。」 負けた悔しさなど、この娘の前では吹き飛んでしまうような、何故かそんな気がした。 レッドテイル×アイラナステア組…2回戦進出! 藤田浩之×神岸あかり組…1回戦敗退。 ――第4ブロック一回戦第1試合。 ぐしゃあ! ばきゃあ! ずがびしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 「ゲーム! 幻八、ティリア組、5−4!」 「っし!」 どこで覚えたのか、小さくガッツポーズまで取るティリア。 「よーしよし、いいぞティリア!」 観客席から熱すぎる声援がサラからどんどん飛んでくる。 「…大丈夫か?」 密かにネット前で悶絶している佐藤ポチに遠慮がちに声をかける幻八。 「く〜〜んっ、く〜〜んっ…」 もはや犬としての習性が肌に染み付いてしまったのか、甘え声でティーナに擦り寄るポチ。 ティリアのショットというのは、”何故か標的を定めると綺麗に決まる”らしく、 それまでのノーコンが嘘のように、ストレートでゲームを奪取。 まさに、眠れる獅子を起こしてしまったかのようだった。 しかし。 「…ここまでは計算どおりです。ティーナ。 マジカルティーナ状態だからこそ巡ってくる勝機、確実に生かすんですよ。」 「ひなたさん?」 「ティリアとかいいましたか…あの異世界の少女。 彼女には致命的な弱点がある。今、ティーナが見せてくれますよ。」 「…弱点?」 風見の言葉がさっぱり理解できないようで、考え込む美加香。 そんなこんなやってるうちに、幻八のサーブから試合が再開された。 「(弱点って…それもいいけど、次ゲーム取られたら負けちゃうのに、ティーナ…)」 やきもきする美加香をよそに、ついに前衛でティリアvsティーナの構図が出来上がった! しかし、ティリアはティーナを構う様子はまるで無し! 彼女の目的はただ一つ! ”心理的に狙い易い”ポチの顔面! 「せぇやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! フィルスソード閃光撃ちーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 「…貧乳(ぼそ)」 ずごしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! ティリアの一撃はポチどころかその遥か頭上の照明灯に被弾! 四散する照明灯! だが、今はそんなことはどうでもいい! 「…今、何か言った?」 まさに今からあなたミジン斬りにいたしますよと言わんばかりのティリアの相貌にもシラをきるティーナ。 「(幻聴…幻聴よね、そうよ、そうに決まってる!)」 気を取り直したティリア、再び前に詰めて―― 「…幼児体型(ぼそぼそ)」 ぐしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 次は観客席の上の金網に被弾! 「…………。」 鬼の形相でティーナを睨むティリア。 しかし全くどこ吹く風のティーナ。 「…勝負あり、ですね。」 にんまりと笑いながら自分の愛娘の勝利を確信する風見。 「…まさか、あれが”作戦”なんですか?」 驚愕に身体震わせる美加香に、余裕の笑みを浮かべながら、 「テニスっていう格闘技、 どうやら、些細な精神の乱れでもそれが如実に表れる死合いってことは、経験してみてわかりました。 となれば、あの異世界娘の弱点を徹底的に突いて、精神的に崩せばこっちのものだと踏んだんです。」 「それで貧乳だの幼児体型だのですか…」 感心したような呆れたような美加香。 変身しているから今のティーナはナイスバディなのだが、実際を思うと、呆れるやら微笑ましいやら。 事実。それからティリアの命中率はガクンと落ちていった。 数々の修羅場を潜ってきた彼女とはいえ、さすがに敵から”貧乳”だの”幼児体型”だの いわれたことなど当然あるわけないのだから。 しかし、実際はそれほど貧乳でも幼児体型でもなく、ある意味理想のプロポーションをもつ ティリアではあるが、 やはり、近くにサラみたいなのがいると、少なからずコンプレックスを感じるのかどうか。 ともあれ全く決まらなくなったティリアのショット。 幻八も必死にフォローするが、これまた完全復活のポチによって遮られる。 そして… 「このままでは終わらさない! フィルスソード閃光撃ちっ!」 ティリア最後の意地が炸裂するも、 「佐藤式・飛天御剣流! 龍巻旋!!」 すしゃっ! 「ゲームっ! アンド、マッチ・ウォン・バイ、マジカルティーナ、佐藤ポチ組! ゲームポイント、7−5!」 「…負けたな。俺達の分まで頑張ってくれ。」 「頑張ります。幻八先輩…」 試合が終われば敵も味方もない。 爽やかな空気に包まれ握手を交わす幻八とポチ。 が。 「ぶっとばす! 絶対ぶっとばしてやるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」 「へへーん! 悔しかったらボクみたいなないすばでーになってみなー♪」 「まあ一理あるな、ティリア?」 「サラぁぁぁぁぁ! まずあんたから血祭りにあげてやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「ティ、ティリアさん、落ち着いてください…」 「「ティーナっ! いいかげんにしなさいっ!」」 打って変わってくんづほぐれつの大乱闘。気持ちはわからないでもないが。 「女の子って、つくづく元気だよな〜」 「ええ、全く。」 マジカルティーナ×佐藤ポチ組…2回戦進出! 幻八×ティリア・フレイ組…1回戦敗退。 ============================================== どおもお、YOSSYです。 ゆかり:こんにちは、広瀬ゆかりです! といったところで今作のコンセプトは? よっし:女の子って元気だよね。って感じでしょうか? 少しでも伝わってくれると幸いです。 ゆかり:でも… よっし:ん? ゆかり:また8ブロック第1試合を省いてしまったわね。 よっし:すみません〜〜〜。m(_)m でも、頑張ります。ホント、考えてるんで、見放さないでやってくれると幸いです。m(_)m ゆかり:さて、次回は? よっし:TaS組vs葛田組、書けるか!? ゆかり:書きなさいよ。 よっし:お前…最近妙にキツイな。(汗) ゆかり:気のせいでしょ? よっし:で、3ブロック第2試合…、もしかすると、2,6ブロック第2試合がからんでくるかもです。 ゆかり:行き当たりばったりって、あなたのためにあるような言葉ね。 よっし:俺のためにあるってだけで結構嬉しく感じるけどな。 ゆかり:…はあ(ため息) レッドテイルさん、幻八さん、佐藤昌斗さん、今大会のご出場、まことにありがとうございました。