Lmemo Special・Christmas the wars 〜雪は夜更け過ぎに、雨へと変わるだろう〜 投稿者:YOSSYFLAME







「時は来た!」
『時は来た!!』
「今こそ決起の時は来た!」
『今こそ決起の時は来た!!』

時は12月24日。クリスマス・イヴ。
この日、ディルクセンをはじめとする生徒指導部の猛者共は、並々ならぬ殺気を漂わせていた。
「いいか!諸君!」
ディルクセンの熱弁が続く。
「勉学こそが学生の本分!
しかるに西洋如きから流れてきた陳腐な文化に躍らされ、
あまつさえ、報道機関や商人共の手により、堕落しきった日と化してしまった、この日に!
我ら生徒指導部が喝を入れる!
異議のあるもの前に出ろ!」

『異議なーし!!』

「善し!
いいか!我々の使命は、この学園で陳腐な行事に浮わついている生徒共を粛正する事だ!!
例え、ジャッジだろうと巡回班だろうと、広瀬率いる堕落風紀委員だろうと、容赦はいらん!!
我々の使命に立ち塞がる障害は――完膚なきまで叩き潰せ!!」

『応!!』

「永井!」
「オウ!!」
「鈴木!」
「はい!!」
「美也!」

……………しーん。

「……美也!!」



………………………………しーーーーん。



「……よーへー。」
「…はい。」
「美也がこの場にいないようだが……?」
「あの…、非常に言いにくいんですが………



美也姉は、薔薇部の連中に誘われてクリスマスパーティーに出かけちゃいまして………



『今日こそ!今日の聖夜こそ!橋本先輩をゲットするのよ!』
とか言って、着飾って出て行きましたけど……」







――生徒指導部の粛正計画【聖夜の紅い雪】
尋常ならぬ士気低下のため、幻の作戦と化す。









『Lmemo Special・Christmas the wars 〜雪は夜更け過ぎに、雨へと変わるだろう〜』










【ミレニアム・クリスマス】


「よう誠治!  クリスマスパーティー行こうぜ!」
相も変わらず軽薄そうな笑みを浮かべて橋本が工作部に顔を出す。
「そうだぞ!女共をゲットする最良の日だからな。」
女性権利保護団体に聞かれたらブッ飛ばされそうな台詞を吐く霜月祐依。

きーんがしゃがしゃ。
きーんがしゃがしゃ。
しかし、工作部の奥にいる菅生誠治から返事はない。

「せーじー!  オラ早く行くぞ!」

きーんがしゃがしゃ。
きーんがしゃがしゃ。
ちゅいいいいいいいいいん……
なおも無言の誠治にイラつく橋本と霜月。

「せーーーーじーーーーー!」



「じゃかましい! 俺は忙しいんだ! テメェら勝手に行ってきやがれぇぇっ!!」



「な…なんだなんだ!?」
誠治の怒鳴り声と共にスパナやペンチが飛んでくる。
「わわわっ、何だかよく分からんが先行ってるぞ!!」
橋本を引きずるように逃げながら霜月が怒鳴る。



「くっそお……Y2KY2K……誤作動対策に火の車だってのに、何がクリスマスだ全く……」
2000年問題は、確実に一人の男の青春をも奪っていた。





――ちなみにそのころの科学部。

「あぁ? 2000年問題? 知るかそんなの。起こったらそん時はそん時だ。」
とは、柳川先生の弁。









【初等部のクリスマス】


クリスマスを迎え、一段と楽しい雰囲気の初等部。
「ねえてぃーくん。サンタさんちゃんと来るといいよね。」
「そうだね、笛音ちゃん。」
「えへへぇ〜、わたしのサンタさんは、お兄ちゃんなんだよ。」
「へぇ〜、いいねえ〜」
「靜のサンタさんも、ちちうえなんだよ!」
「靜ちゃんのサンタさんもそうなんだ〜」
OLHやきたみちが夜中にこっそりプレゼントを靴下に入れている光景を思い浮かべ、
なんとなくおかしみが湧いてくるてぃーくん。



「でもさでもさ。エルクゥユウヤがサンタさんだったら嫌だよねぇ〜」



『…………………………』
唐突に、ザ・ワールド。






――その後の風見家。

「ティーナ。冗談は、時と場所を考えなきゃダメでしょ?」
「…はぁ〜い。」









【クリスマスを影で支えるものたち】


「あら、好恵? クリスマスだってのに大変ねえ。」
「あーら綾香、男とデートとはいい御身分じゃないの。」
「デートなんかじゃないわよ。
彼が奢ってくれるっていうから、せっかくだからごちそうになろうと思って♪」
そーゆーのをデートと言うんだよ。
溢れ出す殺気を内に潜めて、坂下は心で呟いた。
「じゃ、お仕事大変だろうけど、頑張りなさいね〜」



「びーーーーーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「なんですか好恵さん。まだ営業の途中でしょう。」
「なんでこんな時にまで律義に営業してんのよウチはぁ!」
「こんな時だからですよ。
絶好の稼ぎ時ですし、なにせみなさん帰しちゃってますから、好恵さんには頑張ってもらわないと。」
「あーーーったく!」









【ナンパ師達のクリスマス】


「くりすます〜クリスマス〜、借りて済ますよ借り済ます〜♪」
微妙に危ない歌を歌いながら学園を闊歩するYOSSYFLAME。
ちなみに借金をしに行ったわけではないのだが。
「さてと、レストランも予約したし〜、ホテルも予約したし〜(ホントかよ)
あとは可愛いパートナーのみっ!」
順番が微妙に逆のような気がするが。
「さて、気合を込めてぇぇ〜〜、いくぞっ!!!!!」



「葵ちゃんっ! 俺と食事して酒飲んでホテルに行こうっ!!!」





『馬鹿か貴様はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

どかぐしゃべきどこばきしかべくべきゃばきどこずかべきゃばこっ!!!!!
T-star-reverse、佐藤昌斗、ディアルト、
挙句の果てに、何故か葵燃えであって葵萌えではない山浦にまでボコボコに打ち負かされるYOSSY。
「ストレートにも程があるわぁっ!  見ろ! 葵ちゃんが気絶しちゃってるじゃないかっ!!」
そりゃ、ウブな葵がホテル≠ネんて聞かされた日には、身体中の血液過循環で倒れるに決まってる。

「松原ぁ! こんなとこで気絶してる場合じゃないぞ! さぁ! 俺と一緒にクリスマス寒稽古だ!!」

『テメェも似たようなもんじゃねえかぁっ!』
哀れ山浦、散る。



そして、
「くそう、こうなったら……、理緒ちゃ〜〜〜んっ! 食事してホ――

「アホかアンタわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
げしいっ!
バイト帰りの理緒を護衛していたkosekiの鉄拳を食らって倒れ伏すYOSSY。
「ホ…って。ホ!の後に何を言うつもりだったんですか! よっしーさん!」
「いや、だから……食事してホラ貝でも一緒に食べようかな〜〜って………」
「よっしーくん、ごめんね。今日は……」
申し訳ない、といった風に謝る理緒に、
「うん、いいんだ。楽しいクリスマスをね。」



でもって、
「誰もゲットできぬままイヴを終われるか! こーなったら、レミ――」

どっごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん……

「ふ。こんなことだろうと思って、貴様がレミィの半径1kmに近づくと爆破する罠を張っておいたのさ。」
「そんな都合のいい罠があるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
自慢げに胸を反らす真藤誠二に猛抗議をするYOSSY。
「事実だ。あきらめろYOSSYFLAME。」
「「………」」
「ん? どうした?」 

「「……誰?」」

「俺だ! 佐奈田黒助だっ!」
「ええ?  嘘だろ?」
「全然似てねえよ。」
「あーーーーーーーーーーーーもーーーーーーーーーーーーっ!」
がばあっ! という擬音と共にヅラを取る黒助。

「あーーーーーーーあーーーーーーーあーーーーーーーっ!」
「ふっ、思い出したか……」
「確かレミィに付きまとう河童……」
「河童って言うなぁっ!」
「そうそう、思い出した思い出した、な、コロ助?」
「誰がコロ助だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」





「ってことで、しょーがねーからお前で妥協してやる。ホラ、来るか?」
「私は仕事よっ!!
しょーがねーだの、妥協してやる≠セの、私をなんだと思ってんのあなたはっ!!」





――ちなみにそのころ、
ぶはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



想像だけで失血死できる男、陸奥崇。人は彼を哀の伝道師≠ニいう。









【理奈の憂鬱】


『こんにちは、広瀬ゆかりです!』
『ゆかりちゃんも大変ですねえ、クリスマスだと言うのに毎年お仕事で…』
『いえ、仕事、好きですから…』
『ほらほら、またそういうことを言う〜』

「(理奈先生……)」
とーるが寂しそうな目で理奈を見る。
「(あなたのお気持ち、察しますよ……)」



「HAHAHAHAHAHA! メリークリスマス!」
「ひっさーつ!  さうんどおぶでぃすてにーーーーーーーーーー!」
「おっ! この顔はいい顔!  おっ! こっちのアングルも!」
「くそう……今頃アイラナのヤツ……」
「電波、届いてるね。」
「HAHAHAHAHAHAHAHA!  HA−−−−−−−−−HAHAHAHAHAHAHAHA!」
「ほらほら、クリスマスよくりしゅましゅーーーーーーーっ!」

さて問題です。
この中で唯一電波が届いてる人がいます。答えはあとがきで(笑)









【ナイトメア・イン・ホーリーナイト=リターンズ】


降り積もる雪の中。風見ひなたは声を聞いた。

「父と子と聖霊の御名において……全ての子にハレルヤ。 
この世に満ちる生命達にハレルヤ。 
ありとあらゆる罪深き咎人にハレルヤ。
未だ時の来たらない希望達にハレルヤ。 
救われぬ悪夢達にハレルヤ。 
この世の底辺で藻掻き苦しむ人間達にハレルヤ。 
救いを与える使徒達にハレルヤ。 
そして……
我等の偉大なる魔王にハレルヤ!」

その男は知っている。今夜は知っていることばかりだ。 
風見は拳を強く握りしめる。
「ハイドラント………貴様………」

びりびりと部屋が振動するような衝撃を秘めた声。
だが、その中でハイドラントは薄笑いを浮かべてすらいた。
「怒るなよ……今日は聖なる日だ。キリスト教の主が生まれ、そしてこの世が終わる日。
魔王が降臨する日なのだからな」



「………貴様………クリスマスに彼女も作らんと、毎年毎年何やってんだ?」



「だ……黙れ!!!」
大地をも震わせるハイドラントの咆哮。
しかしながら、どもってるところが妙に哀愁を誘っていたり。
「貴様のような………貴様のような………
毎年毎年温かいクリスマスを過ごしている輩なんぞに俺の暗い衝動が解るか!!」



「甘ったれんじゃねぇ!!!」



べきいっ!
ハイドラントの頬に風見の熱い拳がめり込む。
「貴様に美加香の殺人クリスマスディナーを食わされる気持ちが解るか!!」
「なんだと……貴様……」



「貴様こそ贅沢言ってんじゃねぇ!!!」



バキイッ!
ハイドラントの熱い拳が風見を地に這いつくばらせる。



「ダーク13使徒幹部12人のうち11人分しかクリスマスケーキを切らない弥生さんの気持ちが解るかぁ!!」
「くっ……!」
ハイドラントの気迫に圧される風見。だが、
ベキィッ!
「とにかく貴様は甘ったれてる! 解るか!美加香に無理矢理酒を飲まされる僕の気持ちが!!」
バキィッ!
「貴様に俺の何が解る!? 宴会の度に弥生さんに失態を披露される俺の気持ちが!!」
べきいっ!
ばきいっ!
バキイッ!
ベキイッ!
 
 .
 .
 .
 .
 .
 .

「……やるな。」
「………貴様こそ。」
いつしか降っていた雪が雨に変わり、二人に激しく降りそそぐ。
しかし、そんな雨も二人の熱気に蒸発するかのよう。
「……ところで、なんで僕達殴り合ってたんだ?」
「……忘れた。」
互いに顔面を腫らせている風見とハイドラント。
しかしながら、二人とも切れた口元をニッと歪めている。
闘気を漲らせたまま沈黙する二人。
その静寂を破ったのは、

「……さて、そろそろケリをつけようか。僕には……待ってるヤツがいる。」
「……フ、だから貴様は甘いんだ。」
「……ほざけ!!」

二人の拳に最大級の闘気が漲る。
そして、ほぼ同時に地を蹴って――



『おおぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!』















                                                                     ――Merry Christmas!


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どおもお、YOSSYです。

『ちょっと変わったクリスマス』を書いてみました。
どうだったでしょうか?
感想など、いただけると嬉しいです。


追伸1:風見ひなたさん。
       「ナイトメア・イン・ホーリーナイト」一部抜粋、申し訳ありません。
       もし不都合あれば、削除させていただきますので。

追伸2:アフロ同盟で唯一電波を食らってたのは「とーるさん」です(笑)
        あの状況で一人冷静でいられるなんて、普通じゃできません(笑)

追伸3:綾香の隣にいた人は――誰でしょう?(笑)

追伸4:このLメモに他のクリスマスLとの整合性は決して≠りません(笑)