――Cコート、第5ブロック一回戦第3試合、セリス×マルチ組vsmakkei×川越たける組 隣のコートの歓声が響く。 隣では、岩下、藍原組vs西山、柏木楓組の激闘が、まさに行われている最中であった。 しかし、 ここCコートの一回戦最後の試合は、熱く盛り上がっていた。 只今のスコア、2−1とセリス組のリードで。 「どうやら、一騎打ちになりそうですね…」 「一騎打ち…ですか?」 選手席で偵察をしているT-star-reverseが、パートナーの松原葵にそう告げる。 「ええ、セリスさんとmakkei君のね。」 「鋭!!」 どきゅっ! makkeiの必殺・代価魔術が炸裂する! がしゃっ! 「はうっ!」 一円玉を媒介にし、プロ並みのサーブを放つ彼の必殺技に手も足も出ないマルチ。 「はうう〜〜〜、すみません、セリスさん〜」 なにせmakkeiのサーブはこれぽっちも取れないマルチ。 全く役に立たない現状ではあるのだが、 「いいんだよ、一生懸命頑張ればそれで。」 「はい〜」 セリスの言葉に励まされ、一生懸命ボールに立ち向かうマルチ。 一応彼はマルチを前衛に置いているのだが、なかなか追いつくのもままならないらしく、 実質上、後衛のセリス一人でやっているようなものである。 対して、 「ハアッ!」 バキャッ! セリスの強烈なサーブが飛び交う! 「えいっ!」 それをなんとかバレー部直伝のレシーブで返すたけるではあるが、 へろへろへろへろ〜 ネット際にへろへろ上がったルーズボールを… 「はわわわ〜、えぇ〜いっ!」 すぱんっ! マルチに決められ、ポイントを奪われてしまう。 「と、言う訳なんですよ。」 葵に対し懇切丁寧に説明をするティー。 「セリスさん組は、マルチが完全に泣き所になってます。 まあ、比較的マシな前衛を中心にやってもらってるみたいですが、 それでも後衛よりはマシ、程度です。 対してmakkei君のチームは、たけるさんが悩みの種でしょうね。 本来ならもう少しキレがいいんでしょうが、連戦のせいか、かなり体力を消耗しているようで、 リターンするのが精一杯、っていう感じですからね。」 「じゃあ、この勝負を分けるのは…」 ティーの推測通り、試合は急ピッチで進んでいった。 セリス、makkeiとも、敵方の弱みを的確に突く戦略で、無駄無くポイントをあげてゆく。 卑怯とはいうなかれ。 makkeiにしてみれば、連戦のたけるを少しでも楽にさせるには、 相手のことなど考えていられる状況ではないのである。 対してセリスの方も、ポイントを失うのを承知の上で、どんどんマルチをゲームに参加させている。 一生懸命頑張ってるマルチではあるが、なにぶん足手纏いの域を出ない。 だからこそ、マルチに”自分のせいで負けた”などと思わせる訳には、決していかないのである。 敵が疲れていようと連戦だろうと、情けをかけている場合ではないのである。 勝つためには。 「ゲーム! セリス、マルチ組、5−4!」 「はあ…、はあ…」 さすがに息切れしてきたmakkei。 後ろを見ると、もう既にバテバテのたけるの姿も。 セリスがマルチを後衛に下げ、前衛を捨てて勝負に出たときから、徐々に彼らは押されはじめていた。 セリスの鬼気迫る攻撃の前に、ついに崖っぷちにまで追い込まれてしまったのである。 「(やばいですねえ…、どうしましょう…)」 「SS不敗流庭球術奥義・虎牙弾撃翔!」 「何っ!?」 バアアンッ! 突如放たれたセリスの必殺奥義が、makkeiのラケットを弾き飛ばした! 「…くうっ…!」 未だに手がしびれている、凄まじい威力の奥義。 「一回戦では使う気はなかったが、そんなことも言っていられないんでね。 全力で君らを叩き潰させてもらうよ。」 冷徹に言い放つセリス。 勝利への執念むきだしである。 「まっけいくん、やろうよ。」 「たけるさん…」 「ゴメンね、ここまで面倒見てもらっちゃって。」 「い、いいや、なんのそれくらい…」 相変わらず女の子には極度に弱いmakkeiだったりする。 「でも、もう大丈夫。 私は、重複してるからって絶対に手なんか抜かないから♪」 「たけるさん、ありがとう…、じゃあ、やろうか?」 「うんっ!」 「何を相談してるか知らんが、これで終わりだ、必殺、虎牙弾撃翔!」 間隙なく打ち込んでくるセリスの必殺奥義! しかし! 「「バレー部必殺、ダブルブロックっ!」」 バチイッ! セリス必殺の虎牙弾撃翔が、ボレーに弾き返された! いや、たけるとmakkeiの二人の合わされたラケットに弾き飛ばされたというのが正確なところだろう。 いかに強烈な虎牙弾撃翔であろうとも、 普段部活で鍛えられた二人の息の合ったブロックを破るのは、容易ではなかったということなのか。 「よしっ!」 「うんっ!」 makkeiとたけるが、お互い手を打ちあわせる。 「セリス先輩、これで条件は互角ですよ。さあ、勝負はこれからといきましょうか!」 「くっ!」 今度はセリスが歯噛みする番である。 性質的に虎牙弾撃翔は、ライナー系の弾道しか撃つことはできない。 つまり、撃てば撃つだけドツボにはまるということだが… 仕方なく虎牙弾撃翔を控え、オートゾックスな攻撃に切り替えるセリスであるが、 やはり勢いの差か、makkei組に押され押され、15−40の劣勢に。 「よしっ!」 makkeiが吠える。 敵の必殺ショットを封じ、たけるも復活した今、逆転勝利も十分可能! 「SS不敗流奥義・虎牙弾撃翔!」 「何!?」 「ええっ!?」 面食らうmakkeiとたける。 この期に及んで撃ってくるというのか、一度破られている技を。 奇襲だというなら無駄なこと! 俊敏にフォーメーションをとるmakkei&たける! バチイッ! やはりさっきまでのと変わらない! 無駄なことをっ! ……しかし! 「……何ぃっ!?」 今度こそ驚嘆するmakkei。 その弾かれたボールは、その一瞬後、自分の陣地に”運ばれていたのである”。 「セリスさ〜んっ! やりました〜〜〜」 「…マルチ、ちゃん?」 呆然とした口調で反芻するたける。 そう、今の今までほとんど役立たず以外の何者でもなかったマルチ。 しかし、そんな彼女が率先して前衛に上がっていたのを、セリスは見逃していなかった。 それに秘められたマルチの狙いも。 だからセリスは躊躇なく虎牙弾撃翔をぶっ放したのである。 ダブルブロックに跳ね飛ばされたボールにラケットをただ合わせる。 実はボレーの基本中の基本であるのだが、その基本を素直に遵守したマルチ。 そして、ダブルブロックをも見事に破られたmakkeiとたけるには、既にもう打つ手はなかった。 「参りました、セリス先輩。…そして、マルチさん。」 これで敗れたら仕方がないとばかりの笑顔で、対戦相手の勝利を素直に祝福するmakkeiとたける。 「いや、必殺技だけに頼らないこと。それと、ダブルスは2人でやることを君達に教えてもらったよ、 …ありがとう。」 セリスもそんな彼らにそっと手を差し出した。 セリス×マルチ組…2回戦進出! makkei×川越たける組…1回戦敗退。 「せ、セリス先輩、そんなに急がなくても…」 makkeiの抗議も耳に入らないかのようにDコートに向かうセリス。 うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 「何! 試合はどうなった!?」 観客の隙間を分け入ってセリスが見たものは―― ============================================== どおもお、YOSSYです。 ゆかり:こんにちは、広瀬ゆかりです! よっし:よ、お前も大変そうだよなあ。 ゆかり:え? 何が? よっし:いや、退任問題で。 ゆかり:(げしっ)今はそれは関係ないでしょうがっっっ!! よっし:(こぶを押さえ)ま、それはそれとして、今作は、なかなか試合にはなったと思ってはいるのですが。 ゆかり:…試合にしてあたり前なの。 よっし:このペースが続くことを願いまして… ゆかり:あなたのことでしょ、あ・な・た・のっ! よっし:で、そろそろ2回戦に入る訳ですが、練習Lや応援Lは、相変わらず募集中です! 一回戦の試合をやったり見たりしてるうちに思い付いた技やコンビネーションを さ、お暇ならキーボードへごーーーー! ゆかり:練習L書いたからって勝てるとは限らない、って言ったのはあなたでしょうが。 よっし:それはそうだけど、個性みたいなのが出るかなと。 正直に言ってしまえば、僕のLは半分ノリで書いてますから、 投稿していただいても書けない技とかもあるんです。 でも、練習Lがあれば、それなりに参考になりますし、何より盛り上がるかなと。 もちろん書けない技がある場合は、それなりにフォローしたいとも思ってますし。 ゆかり:対戦相手との火花散るLメモでも、互いに応援しあうLメモでもいいってこと? よっし:そゆこと。 何もテニスLに限らず、人のLメモに便乗してLメモを書くのは、 悪いことじゃないとは思いますね。はい。 人のネタにおんぶに抱っこって意味じゃなくて、互いに盛り上げようとするのは歓迎かなと。 ゆかり:ふむ。強制じゃなければ募集は一向に構わないと思うけどね、私も。 もちろん、既に敗れた人や、非参加者が書いても差し支えないんでしょ? よっし:当然。テニスLは外伝作大歓迎なんで、どんどん書いてくださいね。 ゆかり:あとがき、随分長くなったわね。 よっし:まね。 文にまとまりがないかとも思いますが、ご了承ください。 それでは、今日はこの辺で失礼いたします。