Lメモ自伝 ACT1 第2話「黒水晶の原石」 投稿者:YOSSYFLAME

ずべしゃああっっ
今日も彼女がコケている。



Lメモ自伝 ACT1 第2話「黒水晶の原石」


「理緒ちゃん、大丈夫か?」
YOSSYはずべしゃとド派手に転んだ女の子、雛山理緒に手を差しだし、苦笑した。
「う、うん。ありがと、YOSSYクン。」
照れ笑いをしながらその手につかまる理緒。
「だいたい、こんなに重い荷物を持って・・・
しょっと・・・」
「あ、いいよ、これは私の仕事だし・・・」
慌てる理緒。
幸いにもダンボールの中身は割れ物ではない商品だったので、これに関しては事なきを得た。
「(さすがbeakerだな・・・)」
YOSSYは、部下の特性をよく掴んでいる友人の気配りに感心した。
「じゃ、分けてもってこうか。」
と、笑いかけるYOSSY。半分なら理緒の領分を損ねる事もない。
「うん、ありがと!」
向日葵のような笑顔を理緒は返してくれた。

雛山理緒。
YOSSYの友達であり、第2購買部でバイトに励む勤労精神旺盛なLeaf学園2年生。
仲はそこそこいいのだが、何故かナンパ師のYOSSYには珍しくコナをかけていない。
おそらく、好感をもった女性の中では唯一の例外ではないだろうか。
前にbeakerにその旨を聞かれたことがあるが、
「なんとなく。」
としか、答えられなかった記憶がある。
まあ、彼女は忙しく、朝から晩までバイト三昧の日々で、
YOSSYの遊びにつきあっている暇などないのであるのだが。

そして、理緒があーまでしてバイトをするとても重い理由があるのも知っていた。


あくる日のこと・・・
「ん?」
今日は理緒に用事があったため購買部に向かっていたYOSSYの前に、
ずべしゃああああっっっ
派手な効果音でずっこける理緒がいた。
どーでもいいけど、この娘、何かに呪われてるんじゃ?
「あ、そだそだ、理緒ちゃん、映画でも見にいかない?」
ナンパ師にしてはありきたりなデートの誘いである。でも・・・
「うん、ありがと!」
あっさりとナンパ成功。
「でも、お願いがあるの。」
「何?」
「弟も連れていってあげたいんだけど・・・」
ちょっと困ったような顔で尋ねる理緒。
「ああ、構わないよ、どぞどぞ。」
にこにこ笑いながら快諾するYOSSY。
「ありがと!じゃ、行って来る!」
たっと初等部に向かってダッシュ!・・・あ、コケた。
「絶対何かに呪われてるよな・・・」


YOSSYは呆然としていた。
それはそうだろう。理緒の弟、良太がなんと、
初等部の友達まで一緒に連れて来るんだから。
「笛音ちゃん、静ちゃん、マールちゃん、ルーティちゃん、ティーナちゃん、
木風ちゃん、てぃーくん、はるか先生だぞ。」
大威張りでそれぞれ自己紹介をする良太。
誰も聞いてねえよクソガキ。
だいたい、なんで河島はるか先生にまで飯おごらにゃならんのか。
しかし、特別子供が好きなわけでもないのだが、子供に泣かれるのは苦手のYOSSY。
おまけに理緒が申し訳なさそうな顔でこっちを見ているとくれば、顔に出すわけにもいかず、
「よーし、じゃ、みんなにとってもうまいもの食わせてやるからなーーーー。」
もうヤケである。
わーっと歓声をあげる子供達。
「じゃ、まずは映画だ、れっつごー!」

「ごめんね・・・」
映画館へ向かう道筋で理緒が申し訳なさそうにいう。
そんな理緒に自信たっぷりの顔で、
「俺の異名は知ってるでしょ、子供同伴で安くすませる方法なんか熟知済みなんだから。」
さすがにこれだけの人数は予想外だったが。
「ありがと・・・」
理緒の家族思いは知っている。家族の為にどれだけの苦労をしているのかも。
そんな理緒の思いを考えると、多少の散財など問題ではない。
「よろしく。」
「貴女は自腹切ってくださいよ、先生。」

もはやデートというより子供達の引率と化した一日。
幼児無料の映画館で子供向けアニメを見て、幼児特典つきのバイキングで食べ放題。
確かにYOSSYのデートにおける機転は尋常ではなかった。
はしゃぎがっつく子供達の面倒をはるか先生にまかせて、さしむかいのYOSSYと理緒。
「今日はありがとう。」
都合数十回のおかわりをして人心地ついた理緒が言った。
「いえいえ、意外と楽しかったしね。久しぶりに遊んでどうだった?」
「うん、楽しかった。beakerクンに感謝しなくちゃ。」
そう。そうなのである。
実は昨日、beakerに呼び止められ、理緒をデートに誘ってくれと頼まれたのである。
理緒に好感を持っているYOSSYとしては断る理由もないし、改めて頼まれるほどのことでもない。
で、理緒に対しては「有給休暇」という形で送り出したのである。
beaker曰く、
彼女は限界以上まで自主的に働いてくれている。こっちとしては大変ありがたいのだが、
いい加減限界だ。このままでは取り返しのつかない事故が起こる可能性もある。
そこで、明日彼女を強制的に休ませるから、リフレッシュさせてくれないか。と。
家族の生活をその小さな体で支えている理緒。
そんな彼女に何も力になってやれない無力感に襲われるYOSSY。
せめて、こんなときぐらい束の間の休息を・・・



その翌日。
「理緒ちゃん?」
休み時間。なぜか浮かぬ顔をして机に座ってる理緒。
「あ、YOSSYクン。昨日はありがと。」
そういって笑う理緒。でも、何かが違う。
「それはいいんだけどさ、何かあったの?」
「ううん、なんでもないの。気にしないで。」
「ほんとに?もし何かあったら遠慮なく話せよ?」
「うん、ありがとう!」

「(理緒ちゃん、何があったんだろう・・・)」
廊下を歩きながら思案にふけるYOSSY。
と、男子生徒の声が聞こえる。
「そうだよ、いきなり食い物制服につけやがって、なにするんだこのゴキブリ女っていってやったぜ。」
ゴキブリ女ねえ・・・女の子にずいぶんひどいことをいう輩もいたもんだ。
「ったく、ゴキブリが人様の食い物扱うなっていうの、雛山の奴・・・」

喧嘩刀が一閃した。

「てめぇ!!もう一度言ってみやがれ!!!!!」
鬼のような形相のYOSSY。
「痛いなあ・・・」
起きあがった男に見覚えがあった。
佐藤雅史。
YOSSYの同級生にして、サッカー部のエース。
そして、YOSSYの友人である藤田浩之の親友(薔薇友達という説あり)であり、
風見ひなたと双璧をなす鬼畜と言われている。
ただ、風見と違うところは・・・
「僕は事実を言っているだけだよ。」
これである。女子供にも容赦がない。
「・・・人が集まってきたな、ちょっと面貸せ。」
「いいとも。」



−裏地−
「さて・・・理緒ちゃんに謝れば見逃してやるが?」
「事実を言って何故謝る必要があるんだい?」
不敵に笑う雅史。
「君のことも知ってるよ、スケベで下品な変態外道。」
「俺のことを知っててよくそんな口が聞けるな。半殺しにしたろか?」
雅史は確かに球技は上手いが、格闘については心許ない。
少なくとも、ティーや昌斗と戦りあえる自分が負けるわけがない。そう思っていた。
予備動作無しの瞬間攻撃、風撃を見切られ、重い蹴りを腹にぶちこまれるまでは。
「ぐはっ・・・」
雅史の顔が引き締まる。
「サッカーをなめるなよ、君ごときに負ける僕だと思ったか?」
「けっ!」
(シュン!)
雅史の視界から消え、死角から攻撃!
(どっ・・・)
またもや見切られ、今度は顔面に蹴りを喰らう。
「ノールックパスを使いこなせる僕にそんな攻撃は通用しないよ。
じゃ、そろそろとどめといこうか。」
雅史がサッカーボールを足元に置き、
「喰らえ!烈蹴ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーー白球波ぁぁぁぁ!!!」
今一瞬字幕が浮かんだような気がしたが、それはそれとして、
ボールがものすごい唸りをあげYOSSYに襲いかかる!
「ふん・・・、!」
なんなくかわすYOSSYであるが、ボールが後を追ってくる!
「わずかな気圧の変化によりどこまでも君を追い続ける!」
不意に目の前に現れた雅史の追撃の蹴りを喰らい吹き飛ぶYOSSY。
その軌道上には死の白球が・・・!

(どぐわしゃあああああああああ!!!!)

「・・・・・・!」
あえなく沈むYOSSY。
「口ほどにもない。」
見下す雅史。
「だてに浩之萌え〜〜〜〜〜〜〜と、あかりちゃん萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜のSS使い共を
地獄に叩き落としてきたわけではないんだよ。」
そうか、それで浩之とあかり萌えのSS使いがいないのか!って、何故あかり萌えまで?
「僕の邪魔をしそうだからさ。」
あ、納得。でも、四季さんを忘れてない?
「あいつのことは言うな。」
はい。
「さてと、ゆっくりなぶり殺すかな。」
雅史が半死半生のYOSSYに近づいたその時、

「くっくっく・・・勝った。」
地に這いつくばり砂を舐めさせられているYOSSYが何故か勝利宣言。
「打ち所が悪かったのか?」
あいも変わらず勝利の確信に溢れる雅史。
「理由は・・・こうだ!」
一瞬。雅史に砂を思いっきりかけるYOSSY。
「貴様・・・!」
「うらぁ!」
雅史がひるんだすきに踵で足の小指を踏みつけへし折る!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「まだまだぁ!」
金的蹴りが炸裂!前屈みになったところに髪を掴んで膝蹴りの嵐!
「だてに格闘部に入ってる訳じゃねーんだよ!」
格闘部でもそんな技教えてない。
「さっきのお返しだ!」
既に血で染まってる雅史の顔面に喧嘩刀が炸裂!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「とどめだ!必殺・・・・
烈風ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ乱舞ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

(ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
ぐしゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!)

「女の子を傷つける外道には手段なんか選ばないタチでな。
いやあ、久々に反則技使うと気持ちいいなあ〜、女の子の前じゃ格好悪くて出来ないからな。」

完璧に勝負あり。YOSSYの完勝である。
悶絶している雅史。女の子にモテモテのルックスはいまや見る影もない。
「さて、二度と戯けたことを言わないように足の一本でも折っとくかな。」

「やめて!」
「!・・・・・理緒ちゃん。」

いつから来たのか、理緒が雅史をかばうように立つ。

「もういい・・・私は気にしてないから・・・」
そう言った理緒の目は真摯で、そして悲しかった。
YOSSYはこれ以上何もすることなく、この場を去った。

このあと、理緒と雅史の間に何があったかはYOSSYは知らないし、興味もない。
ただ、その翌日、理緒が元気にずべしゃとずっこけるシーンを見て、安心した。
「暴力はダメ。」
理緒にたしなめられた、その内容。
「でも、ありがとう!」
今日も第二購買部の一日が始まる。




第三話へつづく






















おまけ
『今日の放課後、裏の空き地に来い。』
「なんじゃこりゃ。」
YOSSYに届けられた果たし状。
「ま、行ってみるか。」



−空き地−
予想もしなかったそうそうたるメンバーがYOSSYを待っていた。
子煩悩ダークマン、OLH。
親馬鹿抜刀剣士、きたみちもどる。
恋愛勇者、カレルレン。
警備保障の右腕、榊宗一。
紅く燃えるは東方と楓、SS不敗流宗家、西山英志。
貧乳ミサイル娘、風見のパートナーにしてYOSSYの友人、赤十字美加香。
そして、学園最初の外道、鬼畜本家、YOSSYのライバル(一方的な)、風見ひなた。
それらの恐るべき面々が一斉にYOSSYを囲み、
「貴様ぁ!俺の笛音、俺のティーナを誰に断って連れ回した!」
「ティーナに手を出せばどういうことになるか教えてやる!」
「静を勝手に連れ回しやがって!」
「木風ちゃん・・・怖かっただろうね・・・」
「マールぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!。・・・・・・・貴様、殺す。」
「マルティーナをかどわかしやがって!とうとう幼女にまで手を出したか、誘拐魔が!」
「よくも雅史先輩を殺ってくれましたねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。」

「ちょっとまてアンタら!俺が一体何をした?」
もちろん、彼らは被保護者の幼児たちから事情を聞いている。
世話をしたのが普通の人間なら、世話になったと、礼の一つも彼らは言うだろう。
だが、底なしスケベ、ナンパなら学園ベスト20には入る悪名高いYOSSYである。
彼らが殺気立つのも無理はない。

「死んでもらいます。」

この日より一週間、YOSSYを見た者はいなかったという。


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どおもお、YOSSYです。

今回の主役は誰あろう、雛山理緒ちゃんです。
しかし、リーフキャラをこんなに深く書いたのは初めてではなかろうか・・・

隠れキャラとして登場した理緒ちゃん。
家族思いで一生懸命ないい子です。

と、いうわけでこのSSを書いてみました。
「女の子にゴキブリはないだろう」の気持ちをこめて。(^^;
え?雅史はいいのかって?
いいんだよ、男は。

お礼のレスです。
OLHさん、きたみちさん、榊さん、西山さん、カレルレンさん、
キャラの出演、どうも有り難うございました。m(..)m
次はもっと活躍させますので、期待しないで待っててください。
はじめてではないですが、ひなたさん、マルティーナに出演していただき、有り難うございました。
あと、鬼畜雅史ネタ、拝借させていただきました。すみません。m(..)m

なお、このSSには挑戦的な意志は全くないことを断っておきます。
感想、批評、助言、お待ちしています。

では、失礼します。YOSSYでした。