学園祭Lメモ「楓祭’98/閑話休題『ヒロイン達の大ピンチ!(錯綜編)』」 投稿者:YOSSYFLAME
「まあ、風がやったことだから・・・」

魔風穴の突風にスカートを捲られ、意図せず下着を見せてしまった綾香。
しかし、快活な彼女らしく既に吹っ切れていて、今はハイドラント、悠朔とクレープを食べていた。
気のせいか、
さっきのアクシデントで綾香と2人の仲がわずかながら近づいたように見うけられたりする。
『極限状態を共に過ごした男女は親密になる』という定説は
あながち間違いでもなかったりするのだろうか。
とにかく、下着を見られた恥ずかしさからか、いつもより若干2人に優しく接する綾香。
と、そんなとき、
「あら、好恵とbeakerじゃない。」
仲むつまじく歩いていた2人に声をかける綾香。
多分、第二購買部の店番の交代時間なのであろうが、妙に好恵の様子がおかしい。
顔をやや赤く染めて、beakerとも少し距離をとっている様子なのだ。
「好恵?  なんか具合でも悪いの?」
「・・・い、いや、別に。」
なんかもじもじしている好恵。と、横のbeakerが、
「いやあ、お化け屋敷から出てきてからずっとこんな調子なんですよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「いいじゃないですか、下着が見えたってそれが――」
「声が大きいっ!!」
もう見てて面白いくらい真っ赤になってbeakerの口をふさごうとする好恵。
「・・・好恵、もしかして、風でスカートが?」
「・・・うん。」
皆がほがらかな雰囲気の中、一人考え込む綾香。
「・・・どうした?  綾香。」
「・・・ちょっと待ってて、今用事が出来たから!」
皆が呆然としている中、一人駆け出して行く綾香。
「(・・・まさかとは思うけど・・・ね。)」






学園祭Lメモ「楓祭’98/閑話休題『ヒロイン達の大ピンチ!(錯綜編)』」






「(やはり気のせいなのかなあ・・・)」
お化け屋敷から出てきた女の子達に綾香は、
「終わりの方で何か変わったことはなかった?」
と、聞き込みをしていたのだが、
スカートが捲られたと証言してくれた女生徒はわずかに2割強。
恥ずかしさから口を閉ざしている女生徒の数も勘定に入れたとしても
せいぜい3、4割といったところでしかない。
別に身体に何かをされたわけではないのだから、綾香がそこまでやる必要もないのであるが、
なにか凶々しいものを感じずにはいられないのだ。
けれど、証言2割では、はっきりいって偶然というしかない数値であった。
そんなとき、
「綾香さん、さっきから何をしてるんですか?」
「ティー・・・」
格闘部員であり学園一の兼部王、当然オカルト研究会にも属している
ティーことT−star−reverseが綾香の行動に妙なものを感じ、尋ねたのだ。
「うん、実はね・・・」
自分が被害に遭ったことも包み隠さず正直に事の顛末を話す綾香。
それを別に冷やかすこともなく真面目に聞いていたティーではあったが、
「綾香さん、貴女の予感、あながち的外れでもないかもしれません。
この件に関しては僕らが責任を持って調べます、ですから綾香さんは・・・」
「わかったわ、よっしーを捕まえてきて問いただせばいいのね!」
「ええ、今の時点ならとぼけられてそれまででしょう、でも、もし何か見つかったとしたら、
犯人究明とかじゃなく、本当に危険なことになりかねませんから。」
「・・・わかったわ、すぐによっしーを連れてくる!」



――お化け屋敷・魔風穴地点

綾香と別れたT−star−reverseは
さっそく魔風穴の調査に入るべく、交代して今は留守をしている沙耶香とともに
お化け屋敷に入っていった。
「どうですか?沙耶香さん?」
「私にもよくわかりません。ただの魔風穴としか・・・」
「でしょうね、・・・相互魔力増幅、やりますか?」
「ええ!」
相互魔力増幅。
互いのもつ魔力の波長をあわせて、より強い魔力を一時的に行使する魔術である。
この場合は、ティーと沙耶香の魔力の波長を出来るだけ同じに合わせて
互いの魔力を増幅するということになるのだが、
それはあくまで机上の理論であり、実際には互いの魔力の波長を完璧に合わせるなど不可能。
だからただ無作為に魔術師が集まれば出来るという技ではないということだが、
日々共に研鑚を積んでいるオカルト研究会のメンバー同士ならば、ある程度なら波長を合わせられる。
だが・・・、
「ふう・・・駄目ですね。」
相互魔力増幅を使ってさえ結果は変わらず、
「やはり偶然なんでしょうか。」
とため息を吐くティーに、
「いえ、まだわかりませんし、他の方々も呼んでみてそれからまたやってみましょう!」
そんな沙耶香の笑みに元気付けられたティー、
「わかりました。じゃあ、僕が東西さん達を呼んできます、沙耶香さんは、」
「じゃあ、私は芹香さんたちを、とりあえず現時点では問題はなさそうですけど
なにかあったら部員の方に連絡してもらいます。」
「わかりました。では。」

2人が去ったあと、安堵のため息をつくデコイ。
「危なかったですねえ、中止にされたらどうしようかと思いましたよ。
さて、そろそろですかね。」



――Case  of  Final  〜来栖川芹香〜

「・・・・・・・・・・・・・・・」
ここはまさたなどの図書委員が展示している、古書特別展示場。
第二購買部に仕入れられない品物がないのと同様、
図書委員に仕入れられない書物はない。
まさにここは世界中からありとあらゆる書籍を集めて、生徒達に自由に閲覧してもらっている
読書家にとってはまさに桃源郷のような世界なのである。
そこに来栖川芹香はいた。
皆が漫画や小説などを読んでいる少し向こうで、オカルト関係の書物を読み漁っている芹香。
傍から見たらぼーっとしているようにしか見えない芹香であるが、
ことオカルト絡みのことになれば、人が変わったように真剣な目つきになる。
・・・のか?  いまいち自信がもてないが(笑)。
とにかくそんな時、
「どうもです、芹香先輩。」
芹香を捜していたYOSSYFLAMEが声をかけてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・(ぺこり)」
軽く頭を下げて礼を返す芹香。
「相変わらず研究熱心ですね、どうですか、何か面白いものでもありました?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(こくん)」
この二人、会うのはこれがはじめてではない。
まあ、出会いの経緯は今は割愛するが、とにかく何度か会ったことがあるだけに
互いのあいだには緊張感というものが見られなかった。
が、
「フーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
がりがりがりっ!
「てっ!  いててて!」
芹香の愛猫、エーデルハイドはいっこうにYOSSYに慣れようとはしない。
いや、敵視しているといっても過言ではないほどの殺気を向けてくる。
「・・・・・・・・・・・・・・・(なでなで)」
「ふにゃ〜〜〜♪」
と、芹香に撫でられてなだめられるまで攻撃をやめようとはしないのである。
YOSSYもYOSSYで、芹香の前なのでなんともないようにふるまってはいるが、
「(いつもいつもこの猫はぁ、隙見てとっつかまえてかっさばいて料理研に寄付してやろうか。)」
と、思っているのかどうか、
そもそもエーデルがYOSSYに敵意を向けるのは、芹香を守るという一心からで、
その点、本当に油断ならない男と見られてるのだから仕方がない。
それはさておき、
「先輩、よければ少しまわりませんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「まあ、ここで書物を読んでいたいってのはわかりますけど、
せっかくの学園祭なんですから、色々なところまわってみません?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はあ・・・悪いけど今はこっちのほうが面白い・・・ですかぁ・・・」
少し残念がるYOSSY。
「そうですか・・・でもま、気が向いたらあちこち回ってみるのもいいかもしれませんよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・(ぺこり)」
「え?  いえ、別に謝っていただかなくても、無理言ったのはこっちですし・・・」
「(今回はもう無理だな。この人見かけよりずっとガンコだからなあ・・・)」
YOSSYはそう判断した。
コイツのナンパは意外なほど引き際がいい。
どうせ駄目だって相手をいくら誘っても好感度を落とすだけ、
それなら潔く下がった方が後のナンパ成功にもつながる、
コイツはそういうナンパ哲学(というほど大層なものかどうか)を持っていた。
「(デコイさんには悪いけど、ダメなものはダメなのだから仕方がないな。)」
「じゃ、これで失礼しま――」
そうYOSSYが言いかけたとき、奇跡は起こった。

「芹香君、何か参考になる本は見つかりました?」
ふと、小柄な少年が芹香に話し掛けてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうですか、頑張ってください。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「(・・・なんだ?)」
この2人の間にあるなんともいえない感情は、
少なくとも自分に対したときの反応とは明らかに違う、
嫌悪感?
いや、そうとも取られない、しかし穏やかならぬ空気を察したYOSSY。
「あの、アンタは――」
「あ、はじめまして、YOSSYFLAME君ですね、話には聞いていますよ。」
先に挨拶をされ、右手を差し出されたYOSSY、完全に先手を取られた格好だ。
「僕は芹香君と同じオカルト研究会の神無月りーずと言うものです、以後お見知りおきを。」
「あ、いや、こちらこそよろしくお願いします・・・」
完全にりーずのペースでこの場が仕切られている。あっけにとられるYOSSY。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?  はあ、そうですか、どうも・・・」
この人はこういう人ですから気にしないでください。との芹香の言葉にはやや棘が感じられた。
「(う〜〜〜〜む?)」
「で、芹香君、僕も少しここで研究させてもらっていいですか?」
と、りーずが言った、その直後、
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「はあ、これからよっしー君と学園祭を見に行く約束があると、なら仕方ないですね。」
「(はい?)」
さっきその話を断ったのは他ならぬ芹香自身ではないか。
まあYOSSYとしても、この訳の分からぬ男と芹香を二人きり
(正確にはエーデルもいるのだが、YOSSYの認識ではただの猫のため)
にさせておくのは結構不安だったため、渡りに船ではあるし、
なにより当初の目的が達成されるから願ったり叶ったりではあるのだが、
「・・・・・・・・・・・・・・・(くいっ)」
「え?早くいきましょう、ですか?・・・わかりました、・・・じゃ、りーずさん、また。」
「ええ、今度はゆっくりお話がしたいですね。」
最後まで悠然としていたりーず。
YOSSYはその態度に感心すると共に、なにか得体の知れないものを感じずにはいられなかった。

「芹香先輩、彼のこと嫌いなんですか?」
とはYOSSYは聞かなかった。
確かに芹香先輩は見掛けによらず芯が強いし、何事も正面から受け止められる強い心の持ち主だ。
しかし、この先輩の口から陰口を言わせる気にはどうしてもならなかったのである。
それはそれとして、
「・・・ってなわけですけどね〜♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(にこっ)」
とまあ、楽しい話をしたりしながら途中で芹香先輩にクレープなどをおごったりして
適当にぶらぶらしていたYOSSYではあったが、
やっと当初の思惑通りの場所、お化け屋敷に着くことができた。
「(さてと、よく考えてみればこれって先輩たちの出し物なんだよなあ、
どうやって誘おうか・・・)」
などと考えているうちに、向こうからオカ研の部員がやってきて芹香に何事かを伝えている。

「・・・・・・・・・・・・・・・(ぺこん)」
「え、少し用事が出来たんで、ごめんなさいって・・・えっと、何の用事ですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ふんふん、お化け屋敷に軽い注意点があるから見てくるので、ですか、
俺もつきあいますよ、なんなら。」
当然である。それが目当てで来たのだから。
「・・・・・・・・・・・・・・・(ふるふる)」
「万が一危険だったりしたらダメ・・・ですか?
大丈夫ですよ、悪霊関係なら先輩がいないとちょっとあれですが・・・
万が一力技の妖魔か何かが出てくれば、俺がいた方が少しはマシですから、ついていきますよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫ですって、さ、行きましょうか♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・(おろおろ)」
逡巡している芹香の腕を引っ張ってってさっそうとお化け屋敷に入るYOSSY。
「(よし、野望まであと一息!)」



――数刻前・古書特別展示場

あちこちYOSSYを捜しまくっていた綾香が次に目をつけたのはここであった。
YOSSYのナンパ癖から、文学系の少女をナンパしにここへも足を運ぶと踏んだからである。
「あ・・・っ!」
そんなとき、軽い知り会いを見つけた綾香。さっそく駆け寄って、
「やっほー、りーず、さっそくだけど、よっしー知らない?
っていってもわからないか、妙な竹刀袋しょっててこめかみに傷のある――」
「ああ、彼ならさっき来ましたが、何か?」
「ええっ!?」
やっと手がかりが見つかった。
「で、どこに行ったかわかる!?」
「彼なら、芹香君と一緒に学園祭を見に――」
ぐいっ!!
芹香の名前を聞いた途端、急に顔色を変えてりーずに掴みかかる綾香。
「姉さんと!?  アンタ、知っててそのまま行かせたの!?」
「ち、ちょっと、綾香君、話が見えないんだが・・・」
「姉さんが危ないっ!
・・・そうだ、りーず、アンタも来なさいっ!  何かの役に立つかもしれないからっ!」
「だから何の話ですか?  それに芹香君の行き先もわからないのに・・・」
「行き先はわかるわ、アンタたちの出し物、お化け屋敷よ、
・・・急がなきゃ!  行くわよっ!」
「ちょっとちょっと・・・」



――お化け屋敷内。

「・・・・・・・・・・・・・・・(なでなで)」
また一体、芹香に撫でられた幽霊が至福の表情を浮かべている。
「(至福の表情ってのはいいんだが、少しばかり怖い気もしないでもないな。)」
ここにいる妖魔や幽霊たち。
人畜無蓋の存在であるということは、入り口の注意書きにも書いてあったのだが、
それでも結構怖いものを感じる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「へえ・・・特に女の子は怖がるかもしれないか・・・
でも、どうしてそんなに恐怖対象が偏ったお化けばっかり召喚したんです?」
俺としては嬉しいですけどね、というセリフを心の中で付け加えて、
「・・・・・・・・・・・・・・・(もじもじ)」
「はあ、多数決でですか、納得。」
しかし、さすがにオカルトの第一人者だけあって、女性がほぼ100%怖がると言われている
妖魔や幽霊を目の当たりにしても、一切物怖じしない芹香。
もっとも、自分が召喚したお化けを怖がっていたら笑い話ではあるのだが。
YOSSYにしても、そんなことを期待して芹香を誘ったわけではない。

「(そろそろだな、あと数メートル・・・!)」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?  どうかしたかって?  いえ、何でもないですっ。」
不意にこっちを見つめてきた芹香の勘というか、
純粋であるが故に人が何を考えているかをなんとなく読めてしまう能力か、
いずれにしても、見透かされたか?  と思ってびっくりしたYOSSY。
しかし、そんな能力が芹香にあったとしても、所詮は”なんとなく”のレベルを脱却しないはず。
そう思ってなんとか安堵する。
あと数メートルで、すぐ横の芹香を自分らの作ったエッチな罠にかけることができるのだ。
純真無垢の芹香先輩をこのような罠で貶めるのは良心が痛まないでもない。
しかし、その良心の呵責を打ち消すほどの興味がYOSSYにはあった。
もちろん、芹香がどんな下着を履いているかにも興味があるにはあるのだが、
それよりも、この一見無表情の芹香先輩が恥ずかしい目にさらされたとき、
一体どんな表情をするのか、一体どんな仕草を見せてくれるのか、
いや、それよりも、
悲鳴という名の芹香先輩の”普通の肉声”を聞ける最初で最後のチャンスかもしれないのである。
・・・まあ、あまり趣味が良くないと言われそうだがこの際仕方がない(何がだ)。
きっとすぐ近くで待機しているデコイもその瞬間を待ちわびているだろう。
あと3メートル。
あいもかわらずゆっくりと自分のペースで歩を進める芹香。
あと2メートル。
これから自分の身に起こることも知らずに。
あと1メートル。
”ターゲット”として、望まない被写体になってしまうのか。
あと・・・



「はああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



「(おおっ!?  って変わった悲鳴だな?)」
などと考える暇もなく。



がしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!



「がああぁぁぁぁ・・・・っ!!!!」
側頭部に強烈な衝撃を喰らってそのまま崩れ落ちるYOSSY。
蹴りの威力をほぼ100%衝撃に転化させることが出来る神業ハイキックの持ち主といえば、
「大丈夫だった!?  姉さんっ!」
そう、芹香の妹、格闘の天才、来栖川綾香しかいない。
「・・・・・・・・・・・・・・・(きょとん)」
なにが起こったのかさっぱり理解できてないようで、やや呆然としている芹香。
そんな姉のいつもの姿を見て、綾香は本当に心の底から安堵した。

「ぐっ・・・くう〜〜〜〜〜っ!  あ、綾香ぁぁぁぁぁ・・・!」
かろうじて意識だけは失ってなかったらしく呻き声をあげるYOSSY。
とはいえ立つ事すら出来るわけもなく、しかしながらその目だけは鋭く綾香を睨み据えている。
「て、てめえ・・・いきなり何の――!」
「よく言うわね!  私だけならともかく姉さんまで罠にかけようとした代償、
こんなもので済むなんて思わないことね!!」
どげしっ!ばきっ!どかっ!
セリフを言い終わるか否かのタイミングで得意の蹴りを数発顔面にお見舞いする綾香。
「きゅう・・・・・・・」
沈黙のYOSSY。
「・・・・・・・・・・・・・・・(汗)」
「止めないで姉さんっ!  もうこれは私の問題よっ!
さあ起きなさいっ!  まだ終わってないわよ!!」
すぱぱぱぱんっ!
「xxxxxxxxxx〜〜〜〜〜っ!」
なんか心なしか顔が変形してるんですけど。
「・・・・・・・・・・・・・・・(おろおろ)」
妹の暴走(正当な怒りといった方が適切)を目の当たりにしてかなり動揺している芹香。
どかっ!ばきゃっ!・・・・(中略)・・・・・ずどっ!
でも、積極的に止めようともしないのは、YOSSYに対する恨みとかじゃなくて、
きっと死にはしないと安心しているから、あえて止めには入らないのだろう。
甘いな先輩、ギャグでも人は死ぬんだよ。(すぐ復活するけど)

「芹香君、これをっ!」
綾香に同行してきたにもかかわらずちっとも目立ってなかったりーずが
普段とは明らかに違う顔色で芹香の意識を魔風穴に向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」



――学園内保健室。

「神凪くん!  あなた自分の怪我がどれほどかわかってるの!?」
「離してくださいっ・・・!  っ痛う・・・!」
ここでもなにか揉めていた。
突然起き出したと思ったらそれこそ突然保健室から出て行こうとする神凪遼刃。
それを保険医の相田響子女医が懸命に止めているところのようだ。

「(駄目だっ・・・!  アレをそのままにしておいては!)」



「・・・・・・・・・・・・げて。」
「え?」
「にゃ?」
「姉さん?」
「先輩?」



「逃げてえぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」



『!』
事前に異変に気づいていたりーず。
芹香に抱かれていたエーデルハイド。
YOSSYを叩きのめしていてそれどころではなかった綾香。
綾香に叩きのめされていて当然それどころではなかったYOSSY。
事の一部始終をただ陰で見守っていたデコイでさえも。
全員が芹香に、芹香のただならぬ様子に、その絶叫に、注目させられた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・わかりました!
綾香君!よっしー君!ここに残っている一般生徒を全員避難させてください!」
「わかったわ!  よっしー!続きはとりあえず後回し!  行くわよ!」
「続きってお前、まだ蹴り足りないのかよ!?」
「いいから!  行くわよ!」
「ああ!」
綾香はもちろん、満身創痍(自業自得だが)のYOSSYですらも気力で無理矢理復活し、
出口と入口に別れて、一般生徒の避難作業にとりかかりはじめた。



――学園某所。

「これで全員そろいましたね、さあ、急いで行きましょうか。」
東西、トリプルGをようやく見つけ、沙耶香とも合流したティーは
魔風穴の真相を調べるべく急ぎ足でお化け屋敷に向かっていた。

危険値を計る針がレッドゾーンに入りかかってることは知らぬままに。



――保健室”付近の廊下”

「すみませんね、相田先生、でもね、・・・ツッ!  ・・・行かなくちゃならないんですよ。」
今ごろ保健室では妖術にかかった響子がぐっすり寝ている頃だろう。
立っているのがやっとのその身体で、神凪遼刃はゆく。

「(自分でまいた種は、自分で刈り取るさ・・・)」



――魔風穴付近。

「(さて、私はどう動けばいいものやら。)」
あくまで冷静なスタイルを崩さぬまま、デコイはこの場面での最善策を思案していた。

 .
 .
 .
 .
 .
 .
 .

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(きっ)」
「芹香君、本気ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(こくんっ)」






                                                      ・・・To  Be  Continued







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どおもお、YOSSYです。

なんかえらく長くなってしまいましたが、読んでやってください。m(_)m


今作のお礼レス〜

神無月りーずさん、出演どうもありがとうございました〜m(_)m
次もよろしくお願いします。m(_)m


今作の懺悔〜

智波さんすみません〜m(_)m
でも、エーデルさばくなんてこと、YOSSYには不可能ですから(言い訳(^^;)


さて次はいよいよ完結編!

芹香は、綾香は、りーずは、神凪は、デコイは、エーデルは、
そしてオカルト研究会メンバーはどうなるか!
オカ研でもない僕がこんなことを書いていいものかどうか悩みましたが(ホントかよ)
完結編、乞うご期待!

(そういえば誰か一人忘れてたな、まあいいや、
書いてる作者が作者なんで、期待しないで待っててくださいね〜(^^))

では、失礼します。