Lメモ転校編 心  投稿者:koseki
初投稿です、読んでいただければ幸いです。
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緑葉帝72年 某市

「はあ、はあ、はあ…」
一人の少年が夜の街を走っていた。
塾がえりの中学生だろうか、体には大きめの学生服が速く走るのを邪魔している。
「はあはあ、こ、ここまでくれば…」
「何だ、もう終わりかぁkosekiちゃんよぉ」
「ひ、ひぃぃぃぃ」
kosekiと呼ばれた少年の後ろには数人の男たちが息も切らさず立っていた。
「俺達から逃げようとは、いい根性してるじゃねーか」
「こりゃぁ今夜の上納金は倍額だなぁ」
「オラ、きやがれっ」
体格のいい男に腕をつかまれ路地裏につれこまれる。
「じゃあ、今日は五万円だな」
男はすっと手を出した。
kosekiは助けを求めようと大通りの方を見るが、無駄だった。
唯一の出口は2人の男たちが塞いでいる。
大通りを歩いている人たちもこの辺を避けて歩いているようだ。
「まったく、逃げなければ勘弁してやったかもしれないのによぉー」
ニヤニヤと笑う男、kosekiはこの男が嫌いだった。
だが、お金さえ出せば離してくれる。
しかし、今日は持ち合わせが無かった。
「あ、あああああありません」
小さな声、だが、男の気分を害すには十分だったようだ。
「なんだとぉー、もっかい言ってみろ、コラ」
「…ありま…せん…」
さっきより小さな声。
それを聞き、男のニヤニヤが消える。
瞬間
ドスッ
男のパンチがkosekiの腹にめり込んでいた。
「…ぐぅ…」
小さくうめくkoseki、だが、男は容赦しない。
「てめぇ、いい根性してるじゃねーか」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
その間も、男の攻撃はやまない。
それどころか周りで見ていた男たちも攻撃に参加し始めた。
「お前は素直に金を払ってりゃいいんだよ」
「そうそう、君みたいな人間のくずは僕らに金を貢ぐために生まれたんだからねぇ」
「ほう、人間のくずどもが良く言う」
「「「なっ」」」
男たちが一斉に振り向く、そこには何か長いものを持った青年がたっていた。
『木刀…かな?』
青年…といっても歳は近そうだが…の手にあるものを詮索するkoseki。
だが、あれが木刀だとしても、夜の街にあんなものを持ち歩く必要があるのだろうか?
「てめぇ、なんのようだ」
「ん?、まあ趣味…かな?」
次の瞬間、そう言って笑っていた青年が動く。
そしてkosekiを殴りつけていた男の頭に木刀が振り下ろされた。
ベギュッ
…なかなか怪しげな音を立てて男の一人は倒れた。
「俺はね、アンタらみたいな外道を狩るのが大好きなんだ…よっ」
青年が動くたびに男たちはなすすべも無く倒れていく。
違いすぎるのだ、実力が、
男たちが殴りかかっても簡単にかわされ、それどころかカウンターで逆に返り討ちに遭う。
5、6人はいたはずの男たちはものの数秒で全滅した。
「ま、こんなもんか…え〜と、君、大丈夫か?」
「…ぼく…ですか?」
「そう、君、できれば女の子の方が助けがいはあったんだけどさ」
「は…はあ…」
「あんな奴らにぺこぺこ頭下げてるんじゃないよ、もっと抵抗してみたらどうだい」
にこやかに笑う青年、手に握られた木刀からは、男たちを殴ったときに付いた血がたれている。
「でも…ぼくは、あなたみたいに力が無いから…さからえないですよ…」
「…なに?」
青年の顔から、笑顔が消える。
「今までに逆らった事はあるのか?」
「…ない…です…」
「ならなんで駄目だと思う、やってもいないくせにあきらめるな」
「は…い…」
「あ〜気分わりぃ、じゃあな」
それだけ言うと、青年はすたすたと歩き出す。
そして、来たときと同じくあっという間にいなくなった。
「あ、お礼…言い忘れてちゃった…」
kosekiがその事に気づいたのは彼が布団に入る直前だった。


  Lメモ転校編 心


緑葉帝73年 リーフ学園前 

「ここかぁ〜」
kosekiは目の前に広がる巨大な学校を眺めた。
あれから、あの男たちと縁を切ったkosekiは真っ先に彼を救ってくれた青年の事を
調べ上げた。
その地道な調査で、彼の名がYOSSYFLAMEということ、そして今はこのリーフ学園
に通っている事などを調べ上げる。
そこで、kosekiはこの学園の事を知った。
剣士や魔術師、挙句の果てには馬までもが生徒として通う世界唯一の治外法権校。
試立リーフ学園。
ここなら、弱虫な自分でも変われるかもしれない。
そう信じたからこそ、両親にまで逆らってこの学園に転入したのだ。
だが…
「うー大きすぎるよ〜」
早速道に迷っていた… 
「早く職員室に行かなければ駄目なのに〜」
すでに時間は9時を回っている、したがって廊下を歩いている人は誰もいない。
さらに言えば、授業中の教室に入りこんで職員室の場所を聞く勇気もkosekiには無
かった。
仕方が無いので適当に歩いてみる。
だが、それがいけなかった。

「…あっ…」
「「げっ…」」

どんな名門校にも不良と呼ばれる連中はいる。
そして、その不良と呼ばれる連中でも、たまには早朝から学校に出る事もあるだろう。
その連中が校舎の裏でサボるのも珍しい事ではない。
kosekiが出会った連中もそんな中の一部だった。
手にはタバコにビール、どちらも未成年には過ぎたものである。
だが、kosekiには注意する事は出来ない、
『そんな事したらまたいじめられる』
そう思うとkosekiは真っ先に逃げ出そうとした。
だが、遅かった。
「ひぇぇぇ」
不良の一人にがっしりと右腕を捕まえられる。
非力なkosekiには振りほどけそうにも無かった。
「見ない顔だが…お前、わかってるだろーな」
「ははははははははははははいいいいいいいいいいいい〜〜〜〜〜」
解っている、黙っていろと言う事だろう。
いじめられた経験が長いkosekiにはすぐに解った。
「なぁ、カッちゃん『口止め料』とっといた方がいいんじゃねーか?」
もう一人の不良がニヤニヤと笑いながらkosekiを見る。
完全におびえてしまっているkosekiを見て、楽な相手だと思ったのだろう。
否定は出来なかった、それは事実だ、情けないと思いながらもkosekiは理解し、自
覚していた。
「そうだなぁ、おい、痛い目にあいたくなかったら有り金全部よこしな」
おとなしく、懐からサイフを出す。
「へへ、確かに口止め料、いただいたぜ」
思わぬ収入に不良達が喜ぶ。
「………」
その光景を、kosekiは見つめていた。
拳がぎゅっと握られる。
「ぼくは…何もしていないのに…」
声が聞こえたのだろう、不良達がいっせいにkosekiを見る。
「何でぼくがあなた達にお金を払わなければいけないんですか、悪い事をしているの
はあなた達…」
最後まで言い切る事は出来なかった。
不良のパンチがみぞおちに入る。
「何だてめぇ、モンクがあんのかよ」
続けて、崩れ落ちたkosekiにケリを入れる。
「世の中ってんのは強いやつが正しいんだよ、弱者は引っ込んでやがれ」
薄れていく意識の中で、kosekiは泣いた…


『いつもそうだ…』
『殴られて、蹴られて…』
『いくら言う事を聞いてもまたなぐられるんだ…』
『もう、いやだよ…』
『誰か…助けてよ…』
『ここなら…YOSSYさんが通っているこの学園なら大丈夫だと思っていたのに…』
『何で、ぼくだけ…』


目が覚める。
気分は最悪だった。
体の節々が痛い、おそらく顔もはれているだろう。
『なんか…だるいな…』
ボーっと天井を見つめる。
『天井?』
kosekiが気絶したのは校舎の裏だったはずだ。
いまさらになってここが室内だと理解する。
「ここは、どこだろう?」
「科学部の部室だ」
kosekiのつぶやきに、素っ気無い答えが返ってきた。
「え?」
今まで気がつかなかったがkosekiのすぐそばに眼鏡をかけた白衣の男が立っていた。
「良く寝るやつだ、もう夕方だぞ」
ということは、転校初日の授業はすべてサボってしまった事になる。
「す、すすすすすすすすみません〜」
慌てて起きようとする、が、体に激痛が走った。
「無理をするな、骨が二、三本折れているんだからな」
そのようだった。
「え〜っとそう言えばあなたは?」
「オレかオレは柳川、この学園で科学を教えている」
「柳川先生ですか、ぼくは…」
「kosekiだろ、良く知ってるさ…貴様がサボった一時間目の授業はオレの授業だった
のだからな」
「あ゛っ」
「そこで探していたら貴様が不良どもにやられていたわけだ」
「あ、あの、あの、す、すみませんでしたぁぁ、それと、助けてくれて、ありがとう
ございます…」
「礼なら、あいつに言え」
柳川の指差した先には、一人の男が立っていた。
「貴様を助けたのはあいつだ」
その男の腕にはドリルがついていた、体のあちこちには装甲がついていた。
男、いや、人と言うよりは…
『ロ、ロボット?』
「ようやく気づいたか、ずっとここに立っていたんだぜ」
「は、ははははいいいいぃぃぃぃ、ごめんなさぃぃぃぃぃぃ〜」
びびる、koseki。
「オレはジン・ジャザム、この学園の三年生だ」
「あ、は、はい、ぼくはkosekiと言います、今日付けでここに転校してきました〜」
「ああ、それは知ってる、にしてもお前、ここに転校してきたわりには…弱いな」
「は、はぃ」
「そんなじゃこの学園じゃもたないぜ」
「…………」
事実だろう、剣士や魔術師が通う治外法権の学園。
裏を返せばそれだけ危険だと言う事だ。
「それでも…、ぼくはこの学園に来たかったんです…」
「あ?なんで?」
「ここなら…ぼくは変われると思ったから…」
「変わる…ねぇ」
そう言うとジンはむずかしい顔をする。
「それって、ただ逃げてるだけじゃねえのか?」
「え?」
「自分から変わろうとしなけりゃ何も変わらねぇよ、場所が人を変えるわけじゃね
ぇし」
「でも、どうすれば良いんですか、ぼくは…」
「知るか、そのぐらい自分で考えろ」
「ふむ、要するに貴様はどうしたいのだ」
柳川が口を挟んだ。
「い、い、今の自分が嫌いなんです、いつもいつも不良達にいじめられて、毎日お
どおどと過ごす、そんな生活がいやなんです……だから…力が欲しい…でも…」
「でも、なんだ?」
「無理だって解っているんです、ぼくは…弱虫だから…」
「無理…でもないがな」
「おい、センセ」
「koseki、貴様に力を与えてやろうか?」
「ほ、ほほほほほほほほ本当ですか?」
柳川がにやりと笑った。
「ああ、それなりのロボットに作り変えてやろう、ただし、一つの試験をクリアし
たらの話だがな」
「やります、どんな事でもがんばります」
「よし、ならオレの最高傑作たるこのジンを倒してみろ」


「……え?……」


部屋の中が静まり返った。
ジンがニヤリと笑う。
「む、無理ですよ〜」
「何、武器は使わせん、ただの殴りあいだ、それともなにか?さっきのセリフは嘘
か?」
「う〜、ほかの事には出来ないんですかぁ」
「オレが作るのは最強のロボだ、もしジンに勝てないようだったら作る価値はある
まい?」
「ほらほら、遠慮しなくてもいいんだぜ、とっととかかってこい」
ジンはやる気満々である。
『勝ち目なんてあるわけが無いじゃないか〜』
対するkosekiは途方にくれていた。
こっちは生身の、しかも怪我をしている人間。
それで無くとも今まで喧嘩なんて勝った事がない。
『やっぱり…無理だよ…勝てるわけ無いよ…』
相手はロボット、それで無くともかなり強そうだ。
『あきらめよう…ぼくが力を手にしようと思う事が間違いなんだ』
柳川がkosekiの方を見てニヤニヤと笑っている。
弱者を見下すような目。
おそらく、解っているのだろう、kosekiがどう決断するかなど。
『そうさ、いつもの事だ…』
あきらめて、くじけて、また他人の顔色をうかがってすごす毎日が始まる。
そう、いつもの事…
『でも…』
『やってもいないくせにあきらめるな』
ふいに、YOSSYさんの言葉を思い出す。
『ただ逃げてるだけじゃねぇのか?』
ジンさんの言葉も、
『…違う、ぼくは…』
毎日毎日いじめられるだけの日々
『自分を変えたいんだ、だからここに来たんだ…だから…』
「だから…」
「あ?」
「もう、ぼくは…、逃げないよっ」
ぺちっ
情けない音
だが、kosekiのパンチはジンの顔に入っていた。
「…ほう…」
「くっそぉぉぉぉ」
ただがむしゃらに殴りつけるkoseki、
その一発一発は軽く、効いているようには見えない。
「ぼくだって〜〜〜〜」
その攻撃をジンは退屈そうに見ていた。
そして、一撃……



「…んっ…」
「起きたか」
柳川の声を聞き、kosekiは飛び起きた。
「…え〜と…」
「見事な負けだったな、まさか一撃でダウンするとは思わなかったぞ。」
「は、はぁ」
「で、どうだった?戦ってみて?」
「はい、…やっぱり勝てませんでした…」
「そうか…」
「でも、最後まで、逃げませんでした」
「そうか」
柳川が笑う、先ほどまでの弱者を見るような目では、無い。
「なら、合格だ」
「…はい?」
「そこで寝ていろ、貴様をくずどもなんぞに負けないロボットに改造してやる。」
「ほ、ほほほほほほほ本当ですかっ」
「ふん、ただの弱者に協力するつもりは無い、貴様が本気で力を求めたから答えて
やるだけだ」
「あ、あああありがとうございますっ」
「そのかわり、少しでも強くなる事をおろそかにしたらすぐ元に戻す、いいな」
「はいっ」
「というわけだ、ジン、暇なときでいいからこいつを鍛えてやってくれんか?」
「別にいいぜ、んじゃ、これからビシバシしごいてやるから覚悟しろ」
「はいっ、がんばります」

こうして、kosekiのリーフ学園での生活が始まった…



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何とか書きあがりました〜
とりあえずkosekiが科学部に入部、人体改造するいきさつですが…
いいのかな?ギャグが無いけど…

YOSSYさま、こういう風になりましたが如何でしょうか?
ジン様、遅れてすみませんです〜
あと、キャラがなんかちがうのは…ごめんなさいです、はい
感想、ご指摘、注意点など頂ければ嬉しいです。
でわ、失礼しましたぁ