Lメモ転校編  体  投稿者:koseki
 先に後書きを読んでもらえると幸いです(汗)
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  緑帝歴73年  早朝  リーフ学園前

 昼過ぎから降り始めた雨は止む事も無く、むしろいっそう強まるように降り続ける。
 その大雨の中で、kosekiは一人、校門の前に立っていた。
 鋼鉄の装甲の下の学生服がびしょ濡れになりながらも、ただ、黙って立っていた。
「………もう、通えないのか……ここには……」
 自分が決めた事とはいえ、やはり、悲しいものがある。
 それは昨日の夜の事であった。

  前日 kosekiの家

「kosekiさん、少し、お話があります」
 突然義母に呼ばれ、kosekiはめったに入った事の無いこの家の応接間に入る。
 そこには、義父や義兄、義弟、この家の家族が勢ぞろいしていた。
「そこに座りたまえ」
 義父がソファーを指差す。
 ちょうどこの家の家族全員に囲まれるような形でkosekiはそのソファーに座った。
「なぜ呼ばれたか、解るかね」
 kosekiが座ったのを確認すると、義父はいきなり話し出した。
「……………いえ、解りません……………」
「なら言おう、その姿はなにかね、アニメの主人公にでもなったつもりか」
「これは…」
「ホント、いい年して恥ずかしくないのかねぇ〜」
 義兄が横から口をはさむ。
「っ………」
「さらに、昨日は校舎を破壊したと言うではないか、校長先生は『良くある事』と寛大におっしゃってくださったが、君
 はこの私に恥じを掻かせるつもりかね?」
「…………」
「koseki君、確かに私は君のお父さんには大変世話になった、だがね、あまりにも最近の君はわがままがすぎる、このま
 までは…もう君をここにおいておく事はできないな」
「……………」
 kosekiはなにも言わない。
 ただ、黙って目の前の机を見るだけだ。
「…また、だんまりかね、君はいつもそうだ、都合が悪くなったらいきなり何も話さなくなる…まあ、君の勝手だがね、
 それで、どうするのかね、そのふざけた格好を辞めるのなら今まで通りにあの学校にも通わせてやる、どうだね、悪い
 話ではないだろう」
 義父はそう言うと煙草に火をつける。

 待つ事数分。
「………義父さん………」
 ゆっくりと、でも、強い声で。
「…わがままを言って、済みません…」
 それは、kosekiの精一杯の拒絶だった。

  早朝  リーフ学園前

「あれ、どうしたの?」
 kosekiの後ろから声が聞こえる。
 振り向くと、自転車に乗り、レインコートを着た女性がいた。
 小柄な女性だ。
「こんな所に立ってると風邪を引くよ、早く帰らないと」
 本当に心配なのだろう、彼女は自転車から降りて、kosekiのそばにくる。
「……いえ……ああ、そうですね……」
 kosekiはボーっとした返事を返すだけだ。
「……もう、仕方が無いなぁ、ほら、こってに来て」
 女性はkosekiの手を無理やり引っ張って歩き出した。

 …それから…



      Lメモ転校編  体




 kosekiが目を覚ますと、今日も雨が降っていた。
 午前2時50分。
 今までのkosekiならまだ起きて機械をいじっているか、本を読んでいる時間だったが今日からは違う。
 試立リーフ学園のそばにある新聞配達所、一般の普通紙全ての新聞を取り扱うこの配達所が新しいkosekiの住処であり、職場で
 あった。
 試立リーフ学園の学費は安い、だが、ただではない以上どうにかしてお金を稼ぐ必要がある。
 そこでkosekiは理緒の進めで、新聞奨学生(新聞配達を行う事により学費をもらえるシステム)を受けることにしたのである。

「おはようございます〜」
「あ、koseki君おはよう」

 彼女の名は雛山理緒。
 試立リーフ学園に通う二年生で、この配達所でも先輩である。
 
「じゃあ、koseki君は今日がはじめてだから、私と『併せ』るから、お仕事をよく見ていてね」
「併せ?…………………花乱火ですか?」
「なに、それ?、まあ、併せというのは二人が組んでお仕事をすることなの」
「そうですか、じゃあ最初は何をするんですか?」
「まずお店にきて最初にやることはタイムカードを押すの、これを忘れるとどんなに一日のお仕事をがんばっても休んだとみなさ
 れるから注意してね」
「はい、気を付けます」
「じゃあ、それが終わったらチラシ入れ、今日一日のチラシを新聞の間にはさめるだけだけど…曜日や日付によっては一番大変な
 お仕事よ」
「え、どうしてですか?」
「月曜日から木曜日まではそう大変じゃないんだけど、週末や月末はチラシが多いから大変なの、チラシが多い日は50枚から7
 0枚、厚さが2cmぐらいになるときもあるのよ」
「た、大変ですね………」
「そう、大変なの、たかが2cmといってもそれが2〜300部も集まれば壁のような高さになるからね、それを今から配るのか
 と思うと…………あいけない、部長さんが見てる、koseki君、後はチラシが終わってからにしましょう」
「あ、はい」

 たかがチラシといえど、300部分ともなるとすごい量になる、その大量のチラシを入れる仕事は、単純作業なだけにすごく飽
 きる、仕事の時間が早いので、話し相手や歌でも歌っていないとすぐ眠たくなってしまう作業だ。
 結局、kosekiがチラシを入れ終わったのは3時50分頃であった。

「じゃあ、これからが一番大切な業務、配達です」
「は、はははははははいっ」
「まず、配達の基本は早く、正確に配ること、A新聞を取っているお客さんにB新聞を配ったりしたら怒られるだけじゃなくお店
の信用にもかかわることだから注意してね」
「は、はい」
「それと、早さなんだけど…まあこればかりは仕方がないよ、初めの内は道が解らないとかでどうしても時間がかかるからね」
「理緒さん……………妙に実感がこもっていますけど体験談ですか?」
「うっ、そ、そんなことはどうでもいいの、それよりもうひとつ大事なことがあるからちゃんと聞くように」
「なんですか?」
「外を見て」
 外は、梅雨のじきなだけあって土砂降りの雨である。
「雨……ですね〜」
「そう、雨、こんな日は新聞がぬれるから、一軒家用に雨袋というものを持っていかないといけないの、その袋に入れて配るのよ」
「面倒ですね〜」
「うん、でも、お客さんにぬれた新聞を配るわけにもいかないからね」
「そうですね………じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「そうね」

 しばらくして、大量の新聞を後ろに積んだ自転車が走り出す。
 その後ろを、kosekiが走ってついてきていた。
 自転車に乗ったとたん、体重に耐え切れずにパンクしてしまったからである。
「koseki君、大丈夫?」
「は、はい、これも修行の一環と思えばぁぁ」
 中継点(まだ配らない新聞を置いておく場所)である高架橋の下についたときには、kosekiは疲れ果てて動けなくなっていた。
「うう、すみません〜」
「まあ、しかたがないわよ、私は配っているからkoseki君はここで休んでいてね」
 理緒は『肩ひも』に新聞をはさむとその上にビニールをかぶせて、小走りで雨の中にきえていった。

『………本当に、なさけないな………』
 kosekiは上を見た。
 高架橋があるからここには雨は入らない、だが、街灯の死角であるこの場所は、薄暗く、すごくさびしい場所であった。
『昨日までは…あんなに楽しかったのに…』
 学校を壊して怒られたり、ジン部長の特訓で体ががたがたになったりもしたが、kosekiにとって今までで一番楽しい日々であった。
『でも』
 自分の体を見る。
 機械化されたその体。
 肩にはキャノン砲、全身は装甲で覆われたその姿を見れば、たいていの親なら怒るか、逃げるだろう。
『後悔は、していない……よね』
 たとえ、それが原因で家を追い出されても、kosekiは自分で決めた事を守り通したいと思った。
 それは、kosekiの意地であった。

「おまたせ〜」
「は、早いですね」
 さっき理緒が走っていってから30分もたっていないはずである。
 それなのに、もう新聞は半分以上減っていた。
「なれてしまえばこんなものよ、次からは手伝ってほしいけど…大丈夫?koseki君」
「はい、迷惑をかけてすみませんでした」
「じゃあ、次の区域まで少し歩くけど…いいかな」

 雨は、まだやまない。
 昨日と同じように、校門の前にも、雨は降り注いでいた。
「理緒さん」
「ん、どうしたの?」
「理緒さんはどうしてぼくみたいな人間にこんなによくしてくれるんですか?、普通なら、こんな所で落ち込んでいるような人間に声
 をかける人なんていないのに…」
「なんで?私は普通だと思うけど…」
「普通…ですか?」
「う〜ん、そうじゃないとしても、目の前で死にそうなぐらい悩んでいる人が居たらやっぱりほおって置けないよ」
「…ぼく、そんなに悩んでましたか」
 思わず苦笑する。
 昔なら、誰も見向きもしなかった、落ちこぼれるやつはシカトされ、だめなやつと呼ばれた。
『違うんだな…昔とは…』
「さあ、お仕事だよ、koseki君」
 二人の前にそびえ立つ二つの建物、リーフ学園の男子寮と女子寮。
 まったく構造を同じとするこの二つの建物がこの当たりで一番大きな配達場所である。
「私は他の所を配っているから、よろしくね」
 理緒は新聞を自転車から下ろしながらそう言うと急いで他の所に配りに行った。
「…さてと…」
 kosekiは濡れないように屋根の下に置かれた新聞の束を見る。
 このような大きな建物を配る場合、始めから配る順番に用意しておくので、初心者でも部屋の番号さえ解ればすぐに配れるのだ。
 …ちなみにこのような新聞の束は梱包と呼ばれている。
「がんばろう」
 自分に気合を入れてから、kosekiは階段を上っていった。


  数十分後 リーフ学園裏山

「どう、初めてのお仕事は?」
「けっこう疲れました」
「まぁ、始めてだから仕方が無いよ、その内なれると思うよ」
 苦笑しながら、理緒が答える。
 仕事を終えた二人は近道である裏山を抜けて帰ろうとする途中であった。
 理緒の配達区域はこの山の周辺なので、帰りは裏山を登った方が楽なのである。
「これから授業を受けると思うと少し憂鬱ですね」
「こら、勉強をするのが学生のお仕事だぞ」
 笑いながら、kosekiに注意する理緒。
「…でも、本当にこれからは大変よ、学校と仕事、両立させるのは凄く難しいから…」
「…そうですね…でも、後で後悔したくないから…精一杯がんばってみます」
「うん、がんばってね」

 雨はまだ止まない。
 先の見えないこの雨が、kosekiには自分の今後の人生に思える。
 でも、いつか雨が止み、明るい時が来るのを信じて、kosekiはがんばってみようと思った…

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 転校編のラスト、三作目…なんですが、かなり神牙Lで指摘されている所や問題点があります(汗)
 
 (1)原作では理緒ちゃんは新聞配達のバイトをしていますが、Lではやっていない。
 (2)かなり自己中心的な話、自分わがまま。
 (3)話の展開に無理がある、いくら理緒ちゃんがやさしくても、良く知らない人間にそんなにやさしくするだろうか?
 (4)理緒ちゃんの言葉使いが少しおかしい
 
 設定をあまり読まないで書いてしまった報いですね(汗)
 一時は消して、また書き直そうかとも思ったのですが、やはりアップする事にしました。
 本当はこんな物を出しては行けないのかもしれません(汗)
 でも出しました。
 かなりわがままですね、自分(滝汗)
 もちろん、「目障りだ、消せ」と言う意見があればすぐに消させていただきます。
 
 …kosekiのLにおける身の回りについて書いてみたかっただけなんですがねぇ…

 いつの日か、このLについてはリメイクを出すつもりです。
 その時は、ちゃんとしたLを書きたいと思っております。

 でも、今はこれが精一杯です…
 でわ、失礼しました。