風紀委員参入Lメモ 『ついていない日というのも、たまにはある』  投稿者:koseki
 リーフ学園校門前…

「こらぁっっっっっっっ、止まれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「そこをどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 今日も、風紀委員会と、遅刻者たちの戦いが始まる8:30分
 昔は負け戦ばかりであった風紀委員も、三年生ディルクセンの活躍により最近は勝利を収める事も多くなってきた…
 だが…広大な敷地を持つこの学園を、完全にカバーで来るわけも無く、どうしても手薄になる場所もできてしまう。
 今日、遅刻したkosekiもそんな手薄の区域を狙って侵入したのだが…

「そこぉぉぉぉぉぉぉぉ、逃げるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「見逃してください〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 …どうやらそんなにうまくは行かないようである…

「ええぃ、こっちも仕事なんだ、ほら、学生証を出せ」
「ご、ごごごごごめごめごめんなさいぃぃぃぃ」
「ごめんで済んだら風紀委員会はいらないのだっ、さぁ、学年はっ、クラスはっっ、氏名はっっっ」
「あ、あぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜」

ちゅっど〜〜〜ん
「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 緊張したのか、kosekiの両肩のキャノン砲が、言い寄ってきた風紀委員に炸裂する。

「くっ、反省の色無し…窮地においての武力行使………………逮捕だっ、覚悟しろォォォォォォォォォォ」
「カンベンしてくださいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 そして、今日も一日が始まる…



  風紀委員参入Lメモ 『ついていない日というのも、たまにはある』





 遅刻した生徒は、一度風紀委員会の懲罰室に送られ、そこで『反省』した後、職員室に行って登校した事
 を報告する、それで、ようやく登校が認められる。
 …すでに一時間目は終わっていたので、簡単な手続きをさっさと終わらせると、kosekiは急いで教室に入
 った。

「あ、おはよ〜」
「おはよう、koseki君、今日も遅刻?」

 教室に入ると、そこには二人しか居なかった。
 同じ一年で、科学部の先輩であるゆきと、柏木初音だ。

「はい、また寝過ごしてしまいました〜」

 苦笑しながら、鞄を机に置く。
 2時間目は…体育だ。

『そうか、だからあまり教室に人が居ないのか…』

 ボーっとしながら、机に教科書をつめる。
 ……どうやら明日のために教科書を置いて帰るという発想は出来ないようだ。

「あ、もうこんな時間、ゆきくん、そろそろいかないと授業に送れちゃうよ。」
「ん?…ああ、そうだね、そろそろ行こうか。」

 「やれやれ」と言った感じで、初音とゆきが席を立つ。

「koseki君も早くね」
「はい〜なるべく〜」
「あ、そうそう、koseki君、黒板の注意事項…ちゃんと読んでおいてね。」

 バアンッッッ

 ドアが、勢い良く閉められる。
 最後に、ゆきがものすごい目でkosekiを睨んだが、kosekiはまるで気が付かない。

「な、なんだ?」

 ゆきが、初音との逢瀬を邪魔されて怒っているなどとは、まるで気が付かない男であった。

「まぁ…いいか」

 すでに、興味は黒板の方に移っている。
 黒板には、「決定」とか、「後一人」などという文字が並んでいる。

「そう言えば…今日の一時間目はホームルームでしたね〜、学園の役員を決めるとかいう」

 他人事の様につぶやきながら、一行一行黒板の文字を眺める。

「図書委員、清掃委員、保健委員、風紀委………」

 風紀委員、kosekiには馴染みの深い名前である。
 その隣に、さらに馴染みの深い名前があった。


 ……自分の名前だった。


 ご丁寧に花丸された後に「決定」と書かれている。

「…………………………………………………………………………………………………………………はい?」

 呆然とするkosekiの耳に、2時間目のチャイムは聞こえなかった。



 四時間目 風紀委員本部



「………D組とF組の代表は逃げたようですが…」
「まぁ良いわよ、それでも30人以上はいるんでしょ」
「はい、ただ…戦力になるかどうかは別ですが」

 風紀委員委員長広瀬ゆかり、その部下、田中の二人は風紀委員の会議室に集まった一年達を見ながら呟く。
 万年人手不足の風紀委が、生徒会を動かして実行した季節外れな役員募集だったが、めぼしい人材はいなかった。。

「ま、予想は出来てたけどね」
「はぁ」

 元より、有力な生徒など学園に入学した時点で他の組織が勧誘している。
 今回の募集のねらいは、その中から将来使えそうな人材を集める事だ。
 そう割り切っているため、ゆかりは失望していなかった。

「…そろそろいいかな、それじゃとーる君、一年を3班に分けて、説明会を始めましょ」
「あ、はい」
「始めてだから、そんなにきつい所は紹介しないようにね、まずは居付いて貰わない事にはどうしようもないんだから」
「……何か…詐欺みたいですね」

 正義感の強いとーるには耐えられないらしい。
 それを見てゆかりはため息を漏らした。
 詐欺…そんな事はわかっている。
 だが、風紀委員という仕事は、望んでやりたいと言う人間などほとんど居ないのだ。
 だからこそ、時には強引な手を使わざるをえないのだ。

 ゆかり達の居る部屋に、数人の男たちがいきなり入ってきた。

「ほう、こいつらが新しい風紀委員か」
「ディルクセン先輩…」

 ディルクセン、風紀委員の三年生にして生徒指導部の長を勤める人間である。

「ディルクセン先輩、何の用ですか?」
「…冷たい言い方だな、同じ風紀委員じゃ無いか」

 ディルクセンがにやりと笑う。
 ゆかりのそばに控えている田中が露骨にいやそうな顔をした。
 ディルクセンの率いる風紀委員生徒指導部、これは「同じ」風紀委員の内部組織ではあるが、風紀委員長、広瀬ゆかりを
 しのぐ実権を持った組織である。

「で、生徒指導部の面々が一体何の用?今日はあなた達が出てくるような事はしてないわよ」
「なに、お前達に代わって新しく入る一年達に風紀委員会の厳しさを教えてやろうと思ってな」
「貴様、勝手な事をっ」
「田中」

 ゆかりのその一言で田中が黙る。

「生徒指導部の決定は絶対よ、例え、それがどんな愚行でもね」
「…まあいいさ、それじゃあ一年は俺達が鍛える、お前達はいつも通りの業務を頼むぞ」

 そう言い放つと、ディルクセンは来た時と同じくドカドカと出ていった。
 そしてすぐ、隣の風紀委員会議室から悲鳴が上がる。

「広瀬さん……」
「参りましたな、これでは一年を潰されるのを黙って待つのみではないですか」
「ふぅ……………………………………………………………………………そうだ、とーる君、休み、取らない?」
「いきなりなんですか?」
「休みの人間が何しようが勝手でしょ」
「…え?、あ、そうか」

 生徒指導部の命令であろうとも、休みの人間には関係無いと言う事だ。

「それでは、今から生徒指導部の監視任務につきます」
「こらこら、お休みでしょう」

 苦笑して、そう呟いた時にはもうとーるは居なかった。

「…まぁ、怪我させないように頼むわよ、とーる君」




 4時間目後半の食堂




「風紀委員の仕事はさまざまだ、登校時の遅刻者取締り、下校時刻を過ぎた在校生の追い出し、学園内でトラブルがあった時の
緊急出動、どれも、学園の秩序を守るために必要不可欠な事だ。」
「あの〜それと食堂がどんな関係があるのですか?」
「……まだ話してる途中だ、黙って聞いてろ…、ええと」
「kosekiです」
「…ああ、あの遅刻魔か、なんでこんな所にいる?ここは風紀委の説明会だぞ」
「ぼくも風紀委員会に入る事になったので…」
「遅刻常習犯のお前が?何かの冗談だろ」
「そうですけど…」
「まぁいい、それで、なんで食堂に来ているかと言うと、ここでテストをするからだ」
「テストォ〜〜〜〜〜〜〜〜」

 一年一同、一斉に不満の声を上げる。
 無理も無い、元々望んできた人間などあまりいないのだ。
 それなのに「テストをする」などと言われたのでは、イヤにもなるだろう。

「テストと言ってもそんなに難しくは無い、ただ、ここの売り子をするだけだ」
「パンを売るだけですか?」
「無論それもそうだが、客を並ばせて、安全な買い物をできるようにするのもテストだ、生徒とのコミュニケーション、委員の
生徒指導力、非常時における対処能力、これらの能力を見るテストと思ってくれれば良い」
「それって……凄い難しいんじゃ…」
「さあな」

 きぃ〜〜んこ〜〜んかぁ〜〜んこぉ〜〜ん

「鐘が鳴ったか、さぁ、早くしないと飢えた生徒たちが来るぞ」
「冗談きついぜ」
「やってられねーよ」

 不満を漏らしつつ、一年達は入り口に向う。

「ふん…誰もお前達になど期待してないわ」

 だから、そのディルクセンの呟きを聞いたのは足の遅いkosekiだけだった。


「な、並んでください、押さないで下さい、まだパンはあります、人数分ありますから…」
「足りるかぁ〜どけぇ〜〜〜〜」
「え〜い、邪魔だぁぁぁ、雅史、一気に行くぞっ『我は放つあかりの白刃』」
「OK、浩之『タイガーシュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ト』」
「カツサンドは駄目ェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ」
「マルチのお使いを邪魔するやつはビームモップの餌食になれェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ」

 爆音が響く、それと同時に生徒たちが一気に食堂に雪崩こんできた。


「どうやら突破されたようですね」
「……これで大抵のやつは逃げ出すだろう」
「それにしても兄さん、なんでせっかく入ってきた新入生を追い出すの?うまくやればこちらの駒になるのに」
「敵味方がハッキリしない委員がこれ以上増えても面倒なだけだ、それに」
「?」
『できる事なら新入生まで俺のする事に巻きこみたくないしな…』



 とーるは戦場と化した食堂を駆けていた。
 入り口付近の一年生はすでに救出してある。
 問題は奥に残っている数名の一年生だ。

「くっ、一年生、無事ですか?」
「あ、先輩」

 泣きそうな顔をしながらとーるに駆け寄る一年達。

「これで全員ですか?」
「え、ええと、後一人いたような…」
「……判りました、あなた方は早く逃げてください、ここは危険ですよ」
「は、はい」

 ダッシュで食堂を逃げ出す一年達。

「やれやれ、後一息か」

 それを見送ってから、とーるはまた走り出した。



「え〜い、今日の出遅れは貴様のせいですよ」
「だって、ひなたさんが私のお弁当を食べてくれないから」
「僕にあの毒物を食べろと言うのですか」
「ふみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 風見ひなたと赤十字美加香が遅れて食堂にやって来た。

「ほら、もう殆どのパンが売り切れじゃないですか」
「だからあきらめてお弁当を…」

 ごつっっっっっっっっっっ

「おや、あれは…」
「人を殴っておいて無視しないでくださいィィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「あれは…koseki君じゃないですか」

 それは、最近風見のクラスに転校してきた生徒だった。
 転校初日に遅刻、次の日にはメカチックになって学校にやってきた変わり者である。

「彼は何をやっているのです、こんな所で」
「風紀委員会の仕事じゃないんですか?確か彼、今朝のホームルームで推薦されてましたし」
「ふ〜ん………よし、美加香、行きますよっ」
「ふぇぇ、まってください〜」



「ふう、だいぶ落ちついてきましたね〜」

 kosekiの受持ちはコロッケパンのコーナーだ。
 あまり、人気が無いのが幸いして、何とか無事に半分くらい売り上げた所だった。

「ディルクセンさんにあそこまで言われて黙っているのも悔しいですからね〜もう少しがんばりますか」

 どうやら先ほどのディルクセンのセリフが気になっているようだ。

「おい、あそこはまだ飯があるぞ」
「コロッケパンかよ〜」
「文句を言うぐらいなら食うなって、俺は行くぞッ」
「けっ、今日はまだ何も食べてないんだ、そう簡単に譲るかっ」

 今まで人気商品に並んでいて買いそびれた生徒が、一斉に非人気商品へと動く。
 あまり売れないコロッケパンも例外無くその波に巻き込まれていった。

「一年、こっちに五個だっ」
「おい、割り込みするな、こっちが先だぞっ」
「やかましい、俺は腹が減ってるんだ」
「ふぃ〜えっと、あなたが3個でしたっけ?」
「五個だっっっっっ」
「食らえ、必殺っ外道メテオォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
「んくぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ???????」

 無数のカナヅチやらハンマーが降り注ぎ、生徒たちを沈黙させる。

「はっはっは、と、いうわけでここのコロッケパンは僕が全部頂きます、文句は無いですね」
「ありますっ、なんですかいきなりっ」

 飛び起きてkosekiが叫ぶ。
 頭にカナヅチがめり込んでいるが何とか元気なようだ。

「………生きてたのか」
「こ、殺す気だったんですか、え、え〜と」
「ひなた、風見ひなた」
「そう、ひなたさんっ」
「クラスメイトの名前くらい覚えておきなさい」
「うう、ごめんなさい…」
「大きな音がすると思ったら、やはりあなたでしたか、風見さん」
「とーる先輩ですか、どうしました?」
「公共物破損、傷害、風紀違反などの件で少々聞きたい事があります、おとなしく詰め所まで来てもらいましょうか」

 とーるがゆっくりと腰の長剣に手をかける。
 ……最初っから大人しく済ませる気はないようだ。

「冗談、僕は食事がまだなんです、さぁ、koseki君、パンを全部貰おうか」
「で、でも、まだ並んでいる人が…」
「koseki君、ここは俺に任せて下がってなさい」

 とーるの口調が荒々しい物に変わる。
 どうやら本気でやるつもりらしい。

「じゃ、お願いします」
「逃げるのですか?軟弱者」

 それは、kosekiにむけた言葉だった。
 ピクリとkosekiの動きが止まる。

「そうやって難しい事から逃げて、それでも男ですか、軟弱者」
「………彼は学園のSS使いの中でもトップクラスの強者だ、君では勝てない、早く下がって、他の風紀委員を呼んで来てくれ」
「………………そこまで言われて…黙ってられませんよ、勝負ですっ、ひなたさん」
「ふっ、来なさいっ、負けたらパン代は全部君持ちですよ」
「なんでそうなるんですかぁ」

 kosekiの叫びを無視して、風見は後ろにいた美加香を踏み台にして宙に舞い上がった。

「あの体勢から出る技は、また鬼畜メテオか」
「何回も食らってたまりますか」

 kosekiのキャノン砲が空中の風見に標準を合わせる。

「いっけぇ〜〜スプレーミサイルッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」
「外道ォォォォォォォォォォメテオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」

 マイクロミサイルと暗器が空中でぶつかり合う。
 まったくの互角と思われたが、一回外道メテオを使っている分、風見の暗器の減りが早い。
 空中戦は不利と悟ったか、風見は地面に降りると同時にkosekiに接近する。

「へっ?」
「はい、プレゼントです」

 ちゅっっどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん

「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 kosekiを中心に強烈な火柱が立つ。
 風見がkosekiに触れた一瞬、その間に体に爆弾を仕掛けたのだ。

「あぅぅぅぅ、ま、まだまだぁ〜」

 ふらふらとよろめきながらも何とか立ちあがるkoseki。

「……へぇ……」

 『加減したとはいえ一時間は立ってられないはずですが…』

「今度はこっちから行きますっ」

 kosekiのキャノン砲からまたマイクロミサイルが撃ち出される。

「SS使いが同じ攻撃を2度も食らうと思いますか?」

 風見は外道メテオの応用で暗器を投げつけて弾幕を張る。
 ついでにマイクロミサイルの後ろから飛んできた鉄鋼弾を軽くかわす。

「さらに言えば狙いが正確すぎます、だから一歩動くだけで簡単に回避できる」
「あうう〜」

 必殺のつもりだったコンビネーションを簡単にかわされて呆然と立ち尽くすkoseki。

「それで終わりですか?なら…………………いきますよ」

 風見がニヤリと笑う。
 いつのまにか、風見の手にはチェーンソーが握られていた。

「小早川スペシャルッッッッッッッッッッッ」

 ………大型チェーンソーによる乱舞技、この一撃で、勝負はついた………









  戦後処理

 koseki   チェーンソーで微塵切りにされる。
       修復に3時間、したがって午後の授業をサボる事になる。
       さらに風見のパン代4千円の請求書付き。

 風見ひなた パンを手に入れることに成功……が、とーる以下風紀委員一同に追われる事となる。




 後日談  風見ひなたの場合

「ひなたさん………それでコロッケパン十個目ですよ、まだ食べるんですか?」
「当たり前です、食べ物を粗末にしたら駄目だと教わらなかったのですか、貴様は?」
「それ以前に食べきれないほど買う方がどうかしてると思うんですけど…」
「え〜いうるさい、貴様も黙って食べなさい」
「ふいぃぃぃぃ、こんなに無理ですよぉ」

 すでに15個は始末している美加香である。
 その美加香も、もう限界であった。

「大体なんであの子…koseki君だっけ、なんであの子に絡むんです?特別何かしたわけではないですよねぇ」
「それは……………」
「それは?」
「………貴様には関係の無い事です」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「え〜い、うるさい、次の授業が始まる前にこのパンを始末しますよ」

 『彼が…koseki君が昔の自分に似ているから気になるなんて言えますか、よりによってこいつに』

「ふい?ひなたさんなにか言いました?」
「なにも言ってません、ほら、早くしないと」
「風見さん、見つけましたよ〜」
「げっ、とーる先輩」
「食堂での私闘騒ぎの罪で逮捕します、神妙に縄についてください」
「誰がそう簡単に、美加香、逃げますよ」
「は、はい」
「待ちなさい、風見さん」




   ディルクセンの場合

「あの遅刻魔が残った…ね………ならここに金だ」
「はい、風紀委員会入りは確実です……良いんですか、その金を動かすと、はい角取りで王手です」

 生徒指導部の部室、そこでディルクセンと松原美也の二人は将棋をしていた。
 もっとも、ディルクセンが美也に一方的に押されていたが。

「彼については………どうしますか?…………」
「む………王手か…………」
「どうします?、兄さん……一言言ってくれれば」
「ふむ………………………こうだ」
「あっ」

 ガシャッッ
 勝てないと見たか、いきなり将棋板をひっくり返すディルクセン。

「ひどいよ、兄さん」
「ふふ、このように…世の中には思いもよらない事故ってもんがあるんだよ、わかったか、美也」
「はい、口が滑りました、以後気を付けます」
「……まぁ、当分は見定めだな、まだ彼が敵になると決まったわけではない」
「では…」

 将棋板を片付けると、美也は部室を出ていった。
 おそらくkosekiに関するデータを集めに行ったのだろう。

「ふう……」

 『帰るチャンスは与えた、それで帰らなかったのだ、例え政闘の狭間で散る事になろうとも…うらむなよ、一年』




 kosekiの場合

「部長ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「なんだ、騒々しい………どうしたんだ?」

 読書の邪魔をされ、気分を損ねたが、一応ジンはkosekiの方を見る。
 そこには、継ぎ接ぎだらけのkosekiがいた。

「……なんだ、そのカッコは」
「部長ぉぉ、もっと鍛えてくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「あん?お前には特訓メニューを渡してるだろうが」
「いえ、もももっともっとっとと強くなりたいんですッッッッッッッッ」
「……詳しい事は良く解らんが、もっと強くなりたいんだな?」

 返事の変わりに必死に首を横に振るkoseki。

「なら走り込みでもしてこい、裏山含め学園の周り10週だ、ほら、ダッシュ」
「はいっ」

 わき目も振らずに走り出すkoseki。
 その傍を、師である柳川が通っても気がつかないほどの集中ぶりだった。

「…………ジン、何だ、あれは?」
「さぁ………ライバルでも見つけたんじゃないか?」
「ライバルが現れたのなら普通困らないか、なにか……目が輝いていたぞ、あいつは?」
「そうだろう、そうだろう」
「ふむ?良く解らんな」
「ま、少しは鍛え甲斐がでてきたって事ですよ、センセ」



「くっそぉぉぉぉぉぉ」

 kosekiはがむしゃらに走りつづける。
 現在五週目、まだ先は長い。
 だが、kosekiは一向にペースを落そうとはしなかった。

「いつか、いつか勝ってやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 kosekiが酸欠で倒れたのは、それから30分あとの事だった。

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 ああ、終わった……………
 でも、結局バトルL……………ああ、よっしーさんに「バトルL」は書かないと言っておきながら(滝汗)
 さらに叫びすぎ、もう少し落ちつこう……

 うう〜………とりあえず、koseki風紀委員会参入です。
 それと、風見ひなたさん、交友関係(と言うか敵対関係(笑))を結んでくださってどうもありがとうございました。